【8月23日 AFP】東京で開催中のバドミントン世界選手権(TotalEnergies BWF World Championships 2022)に出場したウクライナのマリア・ウリチナ(Maria Ulitina)が23日、AFPのインタビューに応じ、ロシアによる母国への軍事侵攻が始まってからハンガリーで生活しており、家がない状況で試合に集中するのはとても難しいと話した。

 世界ランキング58位のウリチナは、2月にウクライナ東部の故郷ドニプロ(Dnipro)市へのミサイル攻撃が始まると、4日間運転し続けてハンガリーとの国境にたどり着いたという。

 ウリチナは6か月たった今も避難先で生活を送っており、この状況が精神状態に深刻なダメージを与えていると話す。

 30歳のウリチナはAFPに対し、「不平不満は言いたくないが、家がなくてあしたどこで生活しているか分からないのは精神的にとてもつらい」と話すと、「メンタル面でも経済面でも厳しい。難しい」と続けた。

 過去にハンガリーに住んでいたため、必要最小限の荷物で戦争状態の故郷から避難した自身と愛犬の在留許可を持っていたウリチナは、トレーニング環境や生活水準は良好だというだが、戦争が長引く中で自身の精神状態を「コントロールするのが大変」だと話した。

 ウクライナにいる家族は安全で、定期的に連絡を取っているものの、戦線が近づいてきているのが不安だという。

 また、以前はロシア人の友人がいたものの、戦争が始まってからは連絡が途絶えていると明かした。

 ロシアのバドミントン選手は国際大会への出場が禁じられているが、同国の選手とコートで相まみえたときにどういうことになるか「想像さえできない」と話したウリチナは、「以前は友人がいたが、戦争が始まってからは誰も便りをくれないし、何も聞いてこない。元気かとか、彼らが申し訳なく思っているとか、何もない。それには心から失望している」と肩を落とした。(c)AFP