【8月23日 AFP】ロシアの首都モスクワ郊外で自動車が爆破され、強硬派の思想家アレクサンドル・ドゥーギン(Alexander Dugin)氏の娘が死亡した事件について、同国の連邦保安局(FSB)は22日、ウクライナが実行したものだったと発表した。

 ドゥーギン氏の娘ダリア(Daria Dugina)氏は20日、モスクワから約40キロ離れた幹線道路を移動中、車に仕掛けられた爆弾が爆発し死亡した。ドゥーギン氏は国粋主義の識者で、ロシアによるウクライナ侵攻を強く支持しており、標的は同氏だったとみられている。ロシアメディアは、ダリア氏が直前にドゥーギン氏の車を借りていたと報じている。

 ロシアの通信各社によると、FSBは事件について、「ウクライナの特殊機関が計画・実行した」と説明。実行犯は1979年生まれのウクライナ人の女、ナタリア・ウォウク(Natalia Vovk)容疑者で、21日に欧州連合(EU)加盟国のエストニアに逃亡したとした。

 FSBによると、ウォウク容疑者は先月、未成年の娘を連れてロシアに入国。ダリア氏が住んでいた建物内のアパートを借りた。

 容疑者は、カザフスタンやウクライナに加え、同国東部の親ロシア派武装勢力が樹立を宣言した「ドネツク人民共和国」が発行したナンバープレートの車に乗り、ダリア氏を尾行。事件当日、ドゥーギン氏とダリア氏が訪れていたモスクワ郊外の祭りの会場にいたという。

 ロシア大統領府によると、プーチン氏はダリア氏の家族に対するメッセージで、事件を「卑劣で残酷な犯罪」と非難した。

 一方、ウクライナのミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領府顧問は21日、事件に同国が関与したとの見方を否定している。(c)AFP