【8月22日 AFP】中国で今月公開された米人気アニメ映画「怪盗グルー」シリーズの最新作『ミニオンズ フィーバー(Minions: The Rise of Gru)』で、中国版のエンディングが挿入されていることが分かった。法の支配を重視するものになっている。

 シリーズ第5弾となる最新作はこれまでの前日譚(たん)で、グルーが犯罪者として経験を積んでいく様子が描かれている。中国では、全米公開から数週間後に公開された。

 中国版では最後に、グルーの憧れの悪党ワイルド・ナックルズ(Wild Knuckles)が強盗に失敗し逮捕され、禁錮20年となったとのキャプション付き静止画が挿入されている。

 通常版では、ナックルズは自分が死んだことにして逃げ切っている。だが、中国版では収監後、詐欺師としての能力と「演劇愛」を生かし、刑務所内で劇団を立ち上げる。一方、グルーは家族を大切にする「良い人」になる。

 中国は世界で最も検閲が厳しい国の一つで、エンターテインメント業界は「健全な」価値観を促進することが求められている。

 今年1月には、騰訊視頻(テンセントビデオ、Tencent Video)のストリーミングサービスで配信されたデヴィッド・フィンチャー(David Fincher)監督の映画『ファイト・クラブ(Fight Club)』のエンディングが改変され、主人公が目指していた近代文明の破壊は警察が阻止したという文章が付け加えられた。

 また、米人気ドラマ「フレンズ(Friends)」では、LGBTQに関するエピソードがカットされ、ファンから批判された。

『ミニオンズ フィーバー』については、検閲当局の要請により変更されたのか、制作側が中国市場で受け入れられるような結末にしたのかは分かっていない。

 AFPはユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)にコメントを求めたが、これまでに回答は得られていない。(c)AFP