【8月28日 AFP】米フロリダ州にあるエバーグレーズ国立公園(Everglades National Park)の奥深くでビルマニシキヘビを捕獲することに、エンリケ・ガランさん(34)はこれ以上ないほどやりがいを感じている。

 東南アジア原産の侵略的外来種であるこのニシキヘビは数十年にわたり、フロリダ半島の湿地帯の生態系を破壊してきた。

 推定数万匹とされるビルマニシキヘビの個体数抑制を試みるフロリダ魚類・野生生物保護委員会(Florida Fish and Wildlife Conservation Commission)に、ガランさんはプロのハンターとして雇われている。

 日が暮れた後、自動車で舗装道路や砂利道を何キロもゆっくりと走り、草深いニシキヘビの生息地へと分け入る。懐中電灯を照らすと時折水辺でアリゲーターの目が光る。

 ガランさんは、1時間当たり13ドル(約1800円)を請求している。また、ヘビを捕獲すると追加料金も発生する。体長1.2メートルまでならば1匹50ドル(約6800円)、それ以上は30センチごとに25ドル(約3400円)が加算される。

 ビルマニシキヘビはもともとペットとして米国に持ち込まれたが、1970年代後半に捨てられた個体が野生化して以降、エバーグレーズを脅かしている。ここにはビルマニシキヘビの天敵がおらず、他の爬虫(はちゅう)類や鳥類、アライグマやオジロジカなどの哺乳類が餌食になっているのだ。

 獲物が捕れない日が2日続いた翌日、国道41号線の路肩に気配を感じたガランさんは、トラックから飛び降りると、そこにいたニシキヘビに飛びついた。まだほんの赤ん坊だった。

 かまれないようヘビの頭の後ろをつかみ、布袋に入れて口を縛った。数時間後にエアガンで殺す予定だ。

 ガランさんはヘビ狩りを始める前にオンライン講習を受けたが、全てを教えてくれたのは、ヘビの捕獲を通じて退役軍人を手助けするトム・レイヒルさん(65)だと言う。レイヒルさんは、退役軍人のトラウマ体験を癒やすことを目的に自然保護奉仕活動団体「スワンプ・エイプス(Swamp Apes)」協会を10年以上前に設立した。

 2000年以降のビルマニシキヘビの駆除数が1万7000匹を超えるプロジェクトに参加していることを、ガランさんは誇りに思っている。

「この活動をしていて最も素晴らしいのは、この場所の美しさです。近づいて目をこらして観察すれば、たくさんのものに魅了されます」 (c)AFP/Gerard MARTINEZ