【8月22日 AFP】ロシア当局によると、モスクワ郊外で20日、乗用車に仕掛けられた爆弾が爆発し、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に近い右派思想家アレクサンドル・ドゥーギン(Alexander Dugin)氏(60)の娘が死亡した。

 メディアが報じた家族の証言によれば、標的はドゥーギン氏だった可能性が高いが、娘のダリア(Daria Dugina)氏が直前にドゥーギン氏の車を借りて運転していた。

 連邦捜査委員会は、ダリア氏はモスクワから約40キロ離れた村付近の幹線道路をトヨタ自動車(Toyota Motor)の「ランドクルーザー」で走行中、爆弾が爆発し、現場で死亡したと説明。殺人事件とみて、当局は捜査を開始したとしている。

 ダリア氏は1992年生まれ。ジャーナリストで、ウクライナ侵攻を公然と支持していた。英国当局からは先月、ウクライナに関する偽情報をネットで広めたとして、制裁対象リストに加えられていた。

 ドゥーギン氏は「プーチンのラスプーチン(Rasputin)」「プーチンの頭脳」などと呼ばれ、国粋主義的な思想家として過激な発言を繰り返してきた。ロシア語圏を「新ロシア帝国」として統合する考えを提唱し、ウクライナ侵攻も全面的に支持している。

 今回の事件について、ウクライナ東部ドネツク(Donetsk)州の一部を実効支配する親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」の指導者デニス・プシーリン(Denis Pushilin)氏は、ウクライナ当局が関与していると非難。「ウクライナ当局のテロリストはアレクサンドル・ドゥーギンを消そうとして、娘を吹き飛ばした」と、メッセージアプリのテレグラム(Telegram)に投稿した。

 ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)報道官は同じくテレグラムで、「ウクライナが関与したという見方が立証されれば国家テロということになる」と述べた。

 これに対し、ウクライナのミハイロ・ポドリャク(Mykhailo Podolyak)大統領府顧問はそうした見方を否定。「ウクライナは一切関与していない。わが国は犯罪国家ではない」と強調した。(c)AFP