【8月21日 AFP】南アフリカで20日、国内最大の民族集団ズールー(Zulu)人の新たな王が即位し、戴冠式を一目見ようと王宮に大勢の人が集まった。

 故グッドウィル・ズウェリティニ(Goodwill Zwelithini)王の息子、ミスズールー・カ・ズウェリティニ(Misuzulu ka Zwelithini)王(47)は、伝統衣装のヒョウ皮とかぎ爪の首飾りを身に着け、「ズールーの国の新たな章がきょう始まる」と宣言した。

 ズールーの王は執行権を持たないが、南ア総人口の約5分の1に相当する1100万人以上のズールー人に大きな影響力を持つ。

 南東部クワズールー・ナタール(KwaZulu Natal)州ノンゴマ(Nongoma)にあるズールー王宮の外には、早朝から色とりどりの伝統衣装をまとった男女が集まり、新王の即位を祝った。

 ただ、祝賀の裏では、王位継承権をめぐる激しい争いが続いていた。

 50年にわたり在位した故グッドウィル王は、6人の妻との間に少なくとも28人の子どもをもうけ、昨年3月に死去した。

 遺言で後継の「摂政女王」に指名された3番目の妻は、王の死去から1か月後に急死。亡くなる前に長男のミスズールー王を後継者に指名したが、王族の中から反発が起きた。

 故グッドウィル王の1番目の妻シボンギリ・ドラミニ(Sibongile Dlamini)王妃は、自分の息子こそ正統な王位継承者だと主張。また、故グッドウィル王の兄弟の一部は、第3王子を後継者に推していた。

 王妃の2人の娘は、ミスズールー王の戴冠式や祝賀式典をすべて中止するよう差し止め請求を行ったが、裁判所は訴えを却下した。(c)AFP/Claire DOYEN