【8月21日 AFP】ブータンで初めてミス・ユニバース(Miss Universe)世界大会に出場するタシ・チョデン(Tashi Choden)さん(23)は、同性愛者であることを公表している同国唯一の有名人だ。

 ヒマラヤ(Himalaya)の小さな仏教国ブータンは、経済成長よりも国民の幸福を優先する「国民総幸福量(Gross National Happiness)」を理念として掲げていることで知られている。

 だが一方で、昨年2月までは、同性間の性行為は「自然の摂理に反する」として刑法で違法とされていた。

 それ故、チョデンさんは自分が今年のミス・ブータンに選ばれ、国民約80万人とこの国のLGBTQ(性的少数者)の代表となったことは「一大事」だと言う。

「ミス・ユニバースのような大舞台で、ブータン社会を代表するだけでなく、少数者のコミュニティーも代表するのです」とチョデンさん。「彼らの声になれるのです」

 14歳の時にはすでに両親を亡くしていたチョデンさんは、「たくさんのリサーチと自問」を重ねた末、昨年6月の世界プライド月間にカミングアウトした。

 当初は、保守的で信心深い親戚から「ものすごく反発」された。だが、カミングアウトする上で親戚に認めてもらうことが、チョデンさんにとって重要な一歩だった。

「少したつと、とても理解を示してくれるようになりました。多くの人が家族や親戚に受け入れてもらえない中で、とても感謝しています」

 ミス・ブータンに選ばれ、ミス・ユニバースへの出場が決まった後にはインターネット上で「否定的な反応」も受けたが、チョデンさんの姿勢は国内外で支持を集めているようだ。

 ロテ・ツェリン(Lotay Tshering)首相も個人的に祝辞を贈り、チョデンさんの健闘を祈った。