【8月19日 AFP】イタリア北西部ピエモンテ(Piedmont)州トリノ(Turin)近郊にある牧場で今月、成長初期段階のイネ科の植物ソルガムを飼料として与えた牛が急性青酸中毒を起こし、約50頭が死んだ。通常は起こりにくい事故だが、干ばつによって有害物質の濃度が高まったとみられている。

 地元の動物愛護団体によると、ソンマリバデルボスコ(Sommariva del Bosco)の牧場で6日、イタリアのブランド牛の一つ、ピエモンテ牛約50頭が、急性青酸中毒でごく短時間のうちに死んだ。

 ソルガムには、青酸配糖体であるデュリンが含まれているが、成長とともにその量は減少する。だが現地では干ばつが続いているため成長が阻害され、デュリンの濃度が高まったとみられている。

 同国北西部の動物予防試験所(IZS)の獣医師ステファノ・ジアンティン(Stefano Giantin)氏は「干ばつによってソルガムに多量のデュリンが含有されていたと考えている」と述べた。

 急性青酸中毒では、摂取から10〜15分で呼吸や神経、筋肉などの障害が表れ、15〜30分後に死に至る。現地で採取したサンプルからは、高濃度のデュリンが検出された。

 ピエモンテ州の他の3か所の牧場でも牛に同じ症状が表れたため、専門家はチオ硫酸ナトリウムを注射する治療を施し、約30頭の牛を救うことができた。(c)AFP