【8月20日 東方新報】中国では9月10日、三大節句の一つ「中秋節」を迎える。日本で中秋の名月というと月見団子が付き物なのに対し、中国では「月餅」が定番。そして毎年、「豪華すぎる月餅」が問題となるが、中国政府は今年、本格的に「封じ込め」を行っている。

 月餅はもともと先祖供養のお供えが由来とされ、その丸い形から一家だんらんを意味する縁起物となった。日本のお中元のように、親や友人らに月餅を手土産にするのが習慣だ。だが、見えを張りたい心情や自分のステータスの象徴、さらには取引先への贈り物として「豪華すぎる月餅セット」が例年登場する。1万元(約20万円)する高級ワインや貴金属とセットにするのは珍しくなく、31万元(約620万円)の「住宅付き月餅」、18万元(約360万円)の「純金の仏像付き月餅」も登場した。こうなると月餅はもはや「おまけ」にすぎず、こうした商品は「天価月餅」と呼ばれている。政府は何度も規制策を発表しているが、規制の網の目をくぐろうと、月餅の箱に金箔(きんぱく)や高級木材のマホガニーを使った商品も登場している。

 国家発展改革委員会などは今年6月、「天価月餅の抑制と業界の健全な発展促進に関する公告」を発表。「単価が500元(約1万円)を超える箱入り月餅を重点的に監督する。500元超の商品を販売する場合、関係部門が法に基づいて審査するために取引情報を2年間保存すること。必要があれば、すぐにコスト調査を行う」としており、実質的に月餅を500元以下に抑えるよう求めた。また、「月餅と他の商品をセットにしない」「包装に貴金属やマホガニーを使わない。包装コストは価格の20%以下にする」と細部にわたる規制をしている。

 中国政府は近年、経済格差を反映したようなぜいたくや浪費にはブレーキをかけ、倹約を奨励している。また、都市部の家庭ごみは包装廃棄物が30~40%を占めており、大半が過剰包装によって発生している。豪華すぎる月餅はこうした問題の象徴と言える。

 今シーズンは今のところ目立った「天価月餅」は登場していない。消費の主力となりつつあるZ世代(1995年以降生まれの若者)の間では、100元(約2000円)以下で8種類のフレーバーを取り入れた「カラフル月餅」や「ザーサイ月餅」といった変わり種の商品も人気だ。今年こそ「天価月餅」がなくなり、素朴に家族のだんらんを楽しむ中秋節になるかが注目される。(c)東方新報/AFPBB News