【8月19日 AFP】トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は18日、ウクライナ西部リビウ(Lviv)で同国のウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領と国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長と3者会談を行い、ウクライナでの核災害の恐れについて警告した。エルドアン氏とゼレンスキー氏の直接会談は、ロシアのウクライナ侵攻開始後で初めて。

 ウクライナでは最近、南東部にある欧州最大のザポリージャ(Zaporizhzhia)原発で戦闘が激化。エルドアン氏は記者会見で、「われわれは心配している。チョルノービリ(チェルノブイリ、Chernobyl)の再来は避けたい」と語った。グテレス氏もエルドアン氏との会談で、原発の損傷は「自殺行為」に等しいと警告した。

 一方でエルドアン氏は、トルコがウクライナの強固な支援国であることを強調。「解決策を見いだす努力を継続しつつ、友であるウクライナの側につき続ける」と表明した。

 トルコはロシアと地政学的に大きく対立しているが、エルドアン氏は同国のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領とは緊密な協力関係を維持。両首脳は2週間前、ロシアの黒海(Black Sea)沿岸のリゾート都市ソチ(Sochi)で会談していた。

 エルドアン氏とグテレス氏は先月、ロシアの侵攻により停止していたウクライナ産穀物輸出の再開に向けた合意を仲介。ウクライナの港湾局は、両氏とゼレンスキー氏との共同記者会見に先立ち、この合意に基づき25隻目の貨物船が穀物3万3000トンを載せてエジプトに向けて出港したと発表した。

 一方で、侵攻初期に行われた和平交渉は失敗に終わっている。ゼレンスキー氏は18日、ロシア軍がウクライナから撤退しない限り、和平の可能性はないと断言。エルドアン氏から、ロシアが「何らかの類いの和平の準備ができている」と伝えられたことに「非常に驚いた」と述べ、「まず(ロシア軍が)われわれの領土から撤退するべきだ。その後、検討する」と言明した。(c)AFP/Dmytro GORSHKOV in Lviv with Thibault MARCHAND in Kyiv