【8月19日 AFP】中米ホンジュラスで、12歳のエドゥアルド・エスピナルさんは理髪店を営んでいる。小さなトタン屋根の建物で朝8時に開店し、1日12時間働く。昨年から学校には行っていない。

 中部コマヤグア(Comayagua)郊外に先月開業した理髪店の前で、エドゥアルドさんはAFPに対し「理髪店も勉強も大好き」だと語った。

 ヘアカット料金はスタイルに応じて約300~400円で、これまでの最高日収は約6000円。1000万人近い人口の約3分の1が1日150円未満で生活している同国の現状を考えると、相当の稼ぎだ。

 エドゥアルドさんの父親(50)は、川砂を集めて建設業者に売り、細々と生計を立ててきた。母親は働いていない。

 家族を助けたいと考えたエドゥアルドさんは、まだ11歳だった昨年、父親と一緒に通っていた理髪店で見習いとして働き始めた。

 エドゥアルドさんは昨年小学校を卒業し、来年には中学校への入学を希望している。夢は「プロの理容師」になること。母親のために家を建て、8歳の妹が将来美容院を開業できるよう力になりたいと話している。

 ホンジュラスでは、14歳未満の労働は違法とされている。しかし国家統計局(INE)のオラシオ・ロボ(Horacio Lovo)氏によると、昨年の5~18歳の就労率は1割を上回ったという。また子ども230万人のうち50万人は、就労も就学もしていなかった。

 ロボ氏はエドゥアルドさんについて、働くために学校へ行かなくなる子どもの「深刻な事例の一つ」だと指摘し、「子どもたちは学校に行くべきだ」と強調した。

 ホンジュラスでは高い貧困率や失業率に加え、ギャングや麻薬が絡む暴力のまん延により、1日平均800人近い国民が自国を離れる決断を余儀なくされている。主な出国先である米国には、すでに100万人以上が移住しているが、その大半が不法滞在とされる。(c)AFP/Noe LEIVA