【8月28日 AFP】インドネシアの首都ジャカルタで、繁華街にある横断歩道がファッションショーのキャットウォークと化し、流行に敏感な若者がさまざまなスタイルを表現する舞台となっている。

 気軽なこの集まりはチタヤム(Citayam)をはじめとする郊外の街の若者を引き付け、やがて「チタヤム・ファッションウィーク(Citayam Fashion Week)」と呼ばれるようになった。

 出演者が横断歩道でポーズを取ったり堂々と歩いたりする様子は、ティックトック(TikTok)やインスタグラム(Instagram)でシェアされている。最初にショーを始めた何人かの中にはたちまち有名になり、プロのモデルの仕事が入り、ファンのグループができた若者もいる。

 学生のリカット・アルフェンドリさん(18)は「ここは自分のスタイルを表現し、コンテンツがつくれる場所だと思っています」と語った。

 警察は以前は横断歩道を使ったファッションショーを禁止しようとしていたが、今は観客に道路から離れるよう拡声器で時々注意するだけだ。

 チタヤム・ファッションウィークを、ファッションタウンとして知られる東京・原宿の縮小版になぞらえる人もいる。

 若者が披露するスタイルは人々の注目を集め、人口3000万人のジャカルタ首都圏中に口コミで広がった。

 さらにセレブやインフルエンサー、著名人や政治家からも関心を向けられるようになり、ジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領までもが、若者には自らを創造的に表現できる場が必要だと発言した。

 インドネシア大学(University of Indonesia)の社会学者デフィ・ラーマワティ(Devie Rahmawati)氏は「10代の若者は自らのアイデンティティーを模索しており、承認されること、受け入れられることを必要としています。それを手っ取り早く得る方法は、好きなものを共有することだと気付いたのです」と語る。

「疎外感を持つ若者は、かつては暴力や違法な公道レースで鬱憤(うっぷん)を晴らしていましたが、今は代わりにファッションを選んでいます。これは前向きで素晴らしいことだと思います」 (c)AFP/Dessy SAGITA