■「異常な夏」 重なった要因

 アルプス山脈には数千の氷河が存在しているが、そのいくつかではトレッキングが難しくなっている。

 スイス・チューリヒ大学(Zurich University)の氷河学者アンドレアス・リンスバウアー(Andreas Linsbauer)氏は「今の氷河の状態は、例年の夏の終わりか、それ以降の時期に近いです」と指摘する。「氷河融解の記録が更新されるのは確実です」

「異常な」夏となった要因はいくつかある。まずは昨冬の降雪量が極端に少なかったことだ。そのため氷河を覆う雪も少なかった。

 さらに今年の初めにはサハラ(Sahara)砂漠から飛来した砂で雪が薄黒く染まり、雪解けが早まってしまった。

 それに追い打ちをかけたのが、早くも5月に欧州を襲った熱波だ。熱波は6月、7月にも連続して到来し、高所の気温も押し上げた。

 7月上旬にはイタリア北部のマルモラーダ(Marmolada)山で、氷河の崩落による雪崩が発生し、11人の死者が出た。専門家は急速な雪解けが氷河の危険度を高めた可能性を指摘している。

 映像は7月28日撮影。(c)AFP/Amelie HERENSTEIN/Nina Larson with Alice Ritchie in Rome