【8月21日 AFP】西欧最高峰のモンブラン(Mont-Blanc、標高4807メートル)で冷蔵庫サイズの岩の落下が多発している。欧州を襲っている熱波と猛暑の影響とみられる。

 アルプス山脈(Alps)にそびえるモンブラン山頂への七つのルートは、公式には閉鎖されていない。だが、今年は巨大な亀裂がむき出しとなり、登頂はこれまで以上に危険となり、多数の登山客の足を遠ざけている。

■「間違いなく地球温暖化のせい」

 モンブランの麓、フランス南部のリゾート地シャモニー(Chamonix)では観光シーズンの真っ盛りだ。

 エギーユ・デュ・ミディ(Aiguille du Midi)の山頂までは、毎日数千人の観光客がケーブルカーで訪れる。

 だが、モンブラン登頂ルートの出発点や、バレーブランシュ(Vallee Blanche)氷河横断へと向かう人は比較的少ない。

 英スコットランドから訪れたエバン・ワーデンさんと14歳の息子デービッドさんも、エギーユ・デュ・ミディ周辺の氷河を楽しみにしていた。だが氷河は悲惨な状態だった。

「歩いたところは落石だらけで、クレバスがあちこち口を開けていました」とアルプスを初めて訪れたデービッドさん

 ワーデンさんは「こんなに多くの落石はここでは長い間、見たことがありません。間違いなく地球温暖化のせいです」と語った。

■夜も凍結しない氷

 シャモニーや近隣のサンジェルベ(Saint-Gervais)の登山ガイド業者は、人気のグーテ小屋(Refuge du Gouter)ルートの登山を7月半ばに中止した。同ルートには「死の回廊」と呼ばれる箇所があり、落石で命を落とす危険があるからだ。

 トロワモン(Trois Monts)ルートの山小屋の管理人ノイ・ベリテさんは、ここ数週間の猛暑で山の地盤が緩くなっていると語った。

 標高3610メートルの小屋に設置された温度計は最近、深夜にもかかわらず6度に達した。そのため解けた氷が再び凍結せず、登山者は来た道を引き返さざるを得なかった。

 現地の山岳ガイド団体「シャモニーガイド協会(Compagnie des Guides de Chamonix)」のオリビエ・グレベール会長によると、今年モンブラン登頂に臨んでいるのは10人程度で、ほとんどがプロの登山家だ。例年なら最大120人が挑戦している。