【8月16日 AFP】9日に投票が行われたケニア大統領選で、同国の選挙管理委員会は15日、ウィリアム・ルト(William Ruto)副大統領(55)が勝利したと発表した。だが選管委員7人のうち4人が選挙結果を拒絶。対立候補を支持する地域では暴力的な抗議デモが起きている。

 独立選挙管理・選挙区画定委員会(IEBC)のワフラ・チェブカティ(Wafula Chebukati)委員長の発表によると、ルト氏の得票数は約718万票(得票率50.49%)で、対立候補の野党指導者ライラ・オディンガ(Raila Odinga)氏(77)の約694万票(同48.85%)を上回った。

 だが委員4人は発表の直前、選挙の過程が「不透明」だとして、結果を承認できないと表明。選挙で不正行為があった懸念が高まった。

 AFP特派員によると、オディンガ氏への支持が厚い首都ナイロビの貧困街では抗議デモが行われ、警察が実弾を発射。同じく同氏の地盤である西部キスム(Kisumu)でも、デモ隊が投石したり、道路をふさいだりし、警察が催涙ガスを使用した。

 貧困層出身で実業家として財を成したルト氏は今回の大統領選について、1963年の独立以来ケニアを支配してきた「王朝」と、「働き者」の一般人との闘いだと主張。開票結果の発表を受け、同国の「すべてのリーダー」と協力すると宣言した。

 現職のウフル・ケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)大統領は当初、ルト氏支持を約束していたが、後に方向転換し、元政敵のオディンガ氏支持を表明。だがオディンガ氏は今回、与党の支持を得たにもかかわらず、通算5回目の大統領選敗北を喫した形となった。

 同国では2007年と17年にも不正選挙疑惑をめぐり騒乱が起き、多数の死者が出ている。(c)AFP/Hillary ORINDE with Nick PERRY in Kisumu and Simon VALMARY in Eldoret