【8月15日 AFP】ノルウェー当局は14日、首都オスロの湾に先月から居着き、市民の人気を集めていたセイウチに安楽死の処置を施したと発表した。他に選択肢がなかったと説明したが、専門家はこの決定を批判している。

 北欧神話の美と愛の女神にちなんで「フレイヤ」と名付けられたこのセイウチは、体重600キロの雌。欧州各国の海に出没し、オスロでは先月17日から目撃されていた。

 当局は市民に対し、フレイヤに近づかないよう呼び掛けてきたが、接近して写真を撮ろうとする人が後を絶たず、中には子ども連れで近づく人もいた。フレイヤが強いストレスにさらされていることから、当局は安楽死を検討していると明かしていた。

 漁業庁のフランク・バッケイエンセン(Frank Bakke-Jensen)長官は「人への継続的な危険性を総合的に評価し、安楽死の決定が下された」「すべての可能性を慎重に検討した。他のどの方法でも(フレイヤの)幸せを保証できないという結論に達した」と説明した。

 動物の権利擁護団体「NOAH」の広報担当者は地元テレビ局TV2で、安楽死処分は性急な結論で、見物客が近づかないよう罰金を科すべきだったと指摘した。

 生物学者のルネ・アーエ(Rune Aae)氏はノルウェー通信(NTB)に対し、「われわれ人間が不適切な行動を取るからという理由で、これほど美しい動物の安楽死が選択されたのは限りなく悲しい」と述べた。(c)AFP