【8月13日 AFP】米カリフォルニア州ハリウッドの学校で奴隷制の悲惨さを教えるために設置された綿花畑によってアフリカ系米国人の女子生徒(17)が精神的苦痛を被ったとして、25万ドル(約3300万円)の損害賠償を求めてロサンゼルス統一学区などを相手取り提訴した。

 訴状によると、女子生徒が授業で心に傷を負い、「制御不能の不安発作」を起こすようになり、「綿摘みの授業のことを考えると抑うつ発作を起こす」と母親のラシャンダ・ピッツ(Rashunda Pitts)氏は主張している。

 女子生徒は2017年、ハリウッドのローレル・スパン・スクール(Laurel Span School)に通い始めた。当初は熱心に通っていたが、次第に落ち込んだ様子を見せるようになった。しばらくして母親が女子生徒を学校に送り届けた際、校内に綿花が植えられていることに気付いた。

「ハリウッドで、しかも公立学校の敷地に綿花畑があることに困惑」した母親が学校に問い合わせたところ、「授業で(奴隷制度の廃止を訴えた)フレデリック・ダグラス(Frederick Douglass)の自伝を読んだ。綿摘みは、自伝に描かれている経験の一つだ」と回答された。

 対応した副校長は綿花畑について、奴隷の強制労働の実態を知ってもらうためのものだと説明したという。

 これに対して母親は「アフリカ系米国人奴隷の経験を身をもって学ぶという目的で娘や他の生徒たちに綿摘みをさせるという案に激怒」。「文化に無神経で、授業としても不適切だとして、失望と精神的な苦痛を表明」した。

 女子生徒は「社会正義の授業で、アフリカ系米国人奴隷が受けた苦難を実体験するために生徒たちは『綿摘み』を要求された」と説明し、「学校でこの授業について話すことにおびえ、この案自体にショックを受けた」としている。

 訴状によると、保護者はこの授業について事前に聞かされておらず、子どもを参加させるかの確認もされなかった。

 訴状によると、同校を管轄するロサンゼルス統一学区は「教育活動」が文化的に無神経と見なされたことを遺憾に思うと述べ、「学校側は保護者からの懸念を受け、直ちに綿花を撤去した」としている。(c)AFP