【8月13日 AFP】ハンガリーの首都ブダペスト中心部の議会前で12日、政府がエネルギー危機を受けて、まきを確保するために天然林の保護規制を緩和したことに抗議する大規模なデモが行われた。

 同国では先週、伐採とアクセス道路の建設を促すために天然林を保護する規制を停止する政令が施行された。

 AFPカメラマンによると、デモ参加者は「森に手を出すな」などと書かれたポスターを手にしていた。

 参加者の一人は政令について、「おかしいと思う。暖房用のガスが爆発的に値上がりする冬に備えて十分なまきを確保したいのだろうが、切ったばかりの木は水分が多く、まきには向かない」と語った。

 ハンガリーはロシア産の石油と天然ガスに大きく依存しており、7月にはロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー危機に対応するため「危機状態」を宣言した。

 ナショナリストのオルバン・ビクトル(Viktor Orban)政権は政令の目的について、森林の伐採ではなく「再生」だと主張している。

 ある当局者は11日、フェイスブック(Facebook)に「政府は、エネルギー不足に悩まされる家庭が出ないよう取り組んでいる」「現在、全世帯の4分の1近くがまきで暖を取っている。まきの供給を増やせば、状況の改善に役立つ」と投稿した。

 世界自然保護基金(WWF)は「憂慮すべき」政令と懸念を示し、地域全体の野生生物が「取り返しのつかない被害」を受ける恐れがあると非難した。(c)AFP