■「共に生きる」

 コーチの一人、ルドルフ・ヌガラさん(21)はコンゴ民主共和国からの移民だ。2017年にこの国に来て、オーランドさんの下で柔道を始めた。柔道を通じて友人ができたと話し、「アレクサンドラの住民は家族みたいなもの。私はコンゴ人で黒人。そして(ここの)みんなと同じアフリカ人です」と言う。

 移民のコーチを置くことは重要だとオーランドさんは語る。「この国にスキルを届けてくれる人として、普段から接することができます」

 10年前にジンバブエから家族で移住して来たデンゼル・シュンバさん(17)もこの道場に通う一人。先月行われた「世界難民の日(World Refugee Day)」の記念大会では、試合後に南アフリカ人の選手2人と冗談を交わしていた。

 シュンバさんは「南アフリカには外国人嫌いがあるので、つらいと感じるときもあります」と言う。それでも柔道を始めたおかげで、穏やかさや礼儀、平和を好むようになったと述べ、貴重な技を学び、友達もできたと語った。

 それこそがオーランドさんの狙いだ。

「南アフリカは、世界で起きている出来事の縮図のようなものです。私たちはみんな交ざり合って暮らしています。移民もたくさんいます。私たちはもっと隣人同士、互いに仲良く暮らすことを学び合わなければなりません」

 イタリア出身のオーランドさんはこれまでエチオピア、ソマリア、コンゴ民主共和国で活動してきた。そして今はこの地の若者たちを力づけるための道場で、貧困地域の住民の融合に努めている。

 映像は6月6、18日撮影。(c)AFP/John VAN DER BERG