【8月13日 People’s Daily】人工衛星から地球を見ると、中国南部の「粤港澳大湾区(グレーターベイエリア)」は夜も明るく照らされている。広東省(Guangdong)の珠江デルタ地帯、香港、マカオの9都市を包括する大湾区は、面積では5万6000平方キロと国土の1%にも満たないが、中国の総体経済の12%を創出している。大湾区計画の開始後5年間で、大湾区の経済規模は2兆4000億元(約47兆400億円)増加した。

「広東省珠海市(Zhuhai)横琴経済開発区とマカオの間に新たな越境検査場が開通し、マカオから横琴の会社まで車で30分足らずとなりました」。横琴開発区で事業を始めた若いマカオの起業家・蔡淵博(Cai Yuanbo)氏は笑みを浮かべる。

 大湾区の交通ネットワークはますます強固となっており、高速道路の走行距離は4972キロ、鉄道網は2500キロに及ぶ。越境手続きは3分の2がセルフ方式に。大湾区内の空港群の旅客対応能力は2億人を超え、港湾群のコンテナ処理能力は8000万TEUを超えている。各エリアの移動は1時間圏内となっている。

 大湾区の個人投資家が境界を越えて金融商品に投資できる「跨境理財通」、深圳(Shenzhen)と香港の株式相互取引「深港通」、中国内地と香港間の債権相互取引「南向通」がそれぞれ実施され、開かれた経済システムの構築が加速している。境界をまたいだ事業登録「大湾区スタンダード」の第1弾リストには、食品など23分野で70項目の基準が網羅されている。マカオの青年弁護士、黄景禧(Huang Jingxi)さんは約2年前に横琴開発区で仕事を始め、事務所のパートナーは既に70人近い。「大湾区にはますます多くのチャンスがあり、舞台はますます広くなっています」

 社会保障の相互利用も進み、昨年末段階で香港とマカオの住民27万9000人が広東省で年金、失業、労災保険に加入した。香港とマカオの若者の起業を支援するインキュベーション(ふ化)基地が構築され、約2300のプロジェクトが進んでいる。

 広東省、香港、マカオは今後も相互協力を深め、優れた開発能力と卓越したイノベーションを備えた世界に冠たる大湾区を建設していく。(c)People’s Daily/AFPBB News