【8月12日 People’s Daily】香港の本土復帰25周年にあたって建設された香港故宮文化博物館(Hong Kong Palace Museum)が披露され、7月3日から公開されている。

「私は小さい頃北京に行って宮殿を見てみたかったんです」と、香港で教師として勤める穆家駿(Mu Jiajun)さんは言う。香港故宮文化博物館が開館すれば、香港に居ながらにして故宮の文物を鑑賞できるので、非常に期待していたという。

 香港市民の間で同博物館への熱気はいや増すばかりであり、公開初日のチケットは、8時間で4万枚の予約が入った。

 香港故宮文化博物館は北京故宮博物院(The Palace Museum)が中国本土以外で始めて行う共同プロジェクトで、北京故宮博物院と香港西九文化区管理局が行う。これは「第14次5か年計画」において重要プロジェクトと位置づけられ、故宮に代表される中国の伝統文化と現代化・国際化の進んだ香港の創造的融合であり、香港の文化財プロジェクトにおけるマイルストーンであるとされている。

 香港の海浜地区チムサーチョイ(Tsim Sha Tsui)には、新しいランドマークがそびえ立つこととなった。7階建てで、1万3000平方メートルを占め、9つの展示室を備えている。ビルの中には北京故宮博物院の建築と所蔵品をイメージしたデザインがふんだんに取り入れられ、過去と現在、中国と西洋が融合したスタイルで故宮の文化を再解釈している。同建築は工事・安全性・環境への配慮・科学技術など19部門で受賞した。

 7月2日、故宮博物院から来た914件の文化財が香港に集結し、展示品を順次入れ替えながら7つの展示室で展示が行われている。ほとんどの文化財は香港で始めて展示されるもので、うち166件の1級文化財は国宝級のものである。故宮博物院の設立以来、最も大規模で、等級の高い文化財が出展された展覧会となった。

 故宮博物院から来た文化財は、晋・唐・宋の書画、明清の紫禁城、清代の宮廷生活、清代の皇族肖像画、工芸品などのテーマごとに分けられて7つの展示室に飾られている。 

 同展覧会における見どころのひとつが、陶磁器の展示である。故宮博物院所蔵36万件以上の陶磁器のうち160件が選ばれ、今回出展された。展示品は新石器時代の竜山文化から清朝光緒年間の作品まで網羅され、汝窯や官窯など中国を代表する歴史的な窯元の名品や、明清期に一世を風靡(ふうび)した景徳鎮(Jingdezhen)の磁器などが含まれる。

 また、今回の展覧会には香港を経由して故宮に戻ってきた文化財も出展される。第三期に展示予定の李嵩(Li Song)「銭塘観潮図」は、1950年代に香港を経由して故宮博物院に戻された。海外に散逸した文化財の保護における香港の貢献を示す作品と言えよう。

 文化観光部の次官であり、国家文化財局の李群(Li Qun)局長は、香港故宮文化博物館の完成によって、香港市民にゼロ距離で文化財を鑑賞し、中国の伝統文化を体感してもらい、香港の文化的な隆盛への自信をつけてもらいたいと語った。(c)People’s Daily/AFPBB News