【8月14日 東方新報】おしゃれなクラブが並び、外国人も遊びに集まる北京市中心部の三里屯(Sanlitun)。「北京の六本木」とも言われるこの街では、カメラを持った男性たちが道行く若い女性を撮影する「街撮り」行為もよく見かける。

 60代の男性は「定年になってヒマなので、ファッションがすてきな女性を撮影している。99%の女性は嫌がらないし、レンズに向けて手を振ってくれる人もいるよ」と説明する。ただ、メインストリートには他にも10人以上の「カメラマン」がいるが、タイトなズボンやミニスカートをはいた女性を追いかけて撮影したり、数人のグループで行動したりする姿が目立つ。

 街撮りは「上海の青山通り」ともいわれる上海市の安福路(Anfu Road)や、成都市(Chengdu)の太古里街(Taikoo Li)などの繁華街でも横行している。撮影者は「衣服の中を盗撮しているわけでもなく、相手が嫌がれば写真は削除している。何も問題はない」と主張する。

 しかし、SNSでは女性の街撮り写真を大量にアップしているアカウントが数多くあり、「豊満バディー」「ミニスカ」などのジャンルも作り、多くのフォロワーを集めようとしている。コメント欄には「こういう撮影は、迷惑だからやめて!」「私も街角で撮影されたことがあるが、本当に不快だった」という女性からの訴えも少なくない。

 また、インターネットでは「街撮り写真コレクション」「街撮りビデオ集」を販売しているサイトもある。たった5元(約98円)で数千枚の写真を販売する人もいれば、99元(約1960円)や480元(約9500円)などさまざまな料金設定の会員制サイトもある。こうしたサイトはプラットフォームによって閉鎖された場合、会員に新しいアクセス先を通知する「アフターサービス」も行っているという。

 肖像権に詳しい黄群輝(Huang Qunhui)弁護士は「報道目的などの合理的理由がない限り、本人の同意なく画像を公開する行為は、民法上の肖像権やプライバシーの侵害にあたる。公の路上の撮影であろうと関係ない」と指摘。

 中国政法大学(China University of Political Science and Law)刑事司法学院の謝澍(Xie Shu)准教授は「当初からわいせつな画像を販売する目的で撮影していれば、営利目的の盗撮行為とみなし、強制わいせつ罪に該当する可能性がある」としている。

 成都市では2019年、街撮りの「聖地」となっている太古里地区で「商業目的の路上撮影を禁止する」と発表しているが、今も街撮りの姿は絶えない。カメラマンが「趣味で街の景色を撮っているだけ」と言えばとがめられないし、望遠カメラで撮影すれば女性が被害を訴え出ることも少ない。

 取り締まりには、悪質な街撮りの定義やそれを罰する法整備が必要ともいわれるが、「画像を販売する『街撮りたち』を早く取り締まってほしい」という声は年々高まっている。(c)東方新報/AFPBB News