肥満の記事に写真使用、イラク人女優がエコノミスト提訴
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【8月12日 AFP】イラク人女優のイナス・タレブ(Enas Taleb)さんが11日、アラブ女性の肥満についての記事で自身の写真が使われたとして、英誌エコノミスト(Economist)を提訴したと、AFPに明らかにした。
物議を醸しているエコノミストの記事「アラブ社会ではなぜ男性より女性が太っているのか」には、バビロン国際フェスティバル(Babylon International Festival)出演時のタレブさんの写真が使われている。
タレブさんはAFPの電話取材に対し、「私の写真が、女性を不快にさせる文脈で使われた」と指摘。「ひどいコメントを多数」受け取り、精神的に傷ついた上、家族にも不安を感じさせたと訴えた。
謝罪と損害賠償を求める法的措置を取ったと述べたが、具体的な賠償額については言及しなかった。
エコノミストの記事は、アラブ人女性の肥満率が高いのは、社会的制約により仕事に出ずに家にいる人が多く、屋外やスポーツジムで運動できないことが原因だとしている。
貧困や食生活の他、アラブ世界ではバロック絵画の代表画家ルーベンス(Peter Paul Rubens)が描くような女性の体形が魅力的だとされていることも一因だとも書いている。
さらに、イラクではふくよかな曲線を持つ理想的な美の例としてタレブさんの名前が挙がることも多いと伝えている。
この記事はソーシャルメディアで反発を招き、性差別やアラブ人女性の肥満を辱めているとの非難の声が上がった。
タレブさんは、記事がアラブ人女性とふくよかな女性に対するゆがんだイメージを描いていると指摘。900万人のフォロワーがいるインスタグラム(Instagram)に、英国人弁護士が「エコノミストに対する名誉毀損(きそん)訴訟」について語る動画を投稿した。
AFPはエコノミストにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。
イラク人女優で映画監督のザハラ・ガンドゥール(Zahraa Ghandour)さんも、記事は欧米メディアの傲慢(ごうまん)な視点に基づくもので、ステレオタイプを強めるものだと批判した。(c)AFP