【8月13日 Xinhua News】エメラルドグリーンの湖面には陽光があふれ、池一面にハスの花が咲き誇り、雲には色とりどりの蝶が舞う…。中国香港特別行政区の香港コンベンション・アンド・エキシビション・センターには、こうした唯美な画面に合わせて人工知能(AI)合唱団が歌う「歌の翼に」が響き渡った。

 これは香港浸会大学が9日に設立を発表した「チューリングAI交響楽団」初演の一場面で、世界的に著名なテノール歌手とソプラノ歌手の声を抽出したものを、AIで分解し合唱を生成している。動画は、AI芸術家が歌詞に出てくる「蓮の花」「歌声」「翼」などの単語を「愛情」「幸福」という文脈と組み合わせて作り出した。

 同日、香港浸会大学と香港生産力促進局が共催した「人、機械、芸術、創意-国際シンポジウム」が開かれ、学術界と産業界の著名な学者や研究者、芸術家が「人とAIが共創する芸術」の発展について議論した。

 シンポジウム組織委員会主席で同大副校長の郭毅可(かく・きか)氏は楽団について、芸術家と科学者が協力するためのオープンなプラットフォームで、芸術家が伝統的な芸術表現の形式や境界を打ち破ることをサポートするとし、「AIは単なる道具ではなく、人と一緒に新たな芸術作品を生み出すことができるはずだ」と述べた。

 楽団は同大の「香港における人と機械の共生による芸術創造プラットフォーム技術構築」プロジェクトの研究成果の一つ。プロジェクトは昨年、特区政府から芸術と技術に関する5年間の研究プロジェクトとして5200万香港ドル(1香港ドル=約17円)余りの助成を受けた。

 同大の潘明倫(はん・めいりん)協理副校長は、AIを芸術分野で応用する余地は非常に大きいが、人類の創造性に取って代わるものではないと述べた。

 李家超(ジョン・リー)香港特区行政長官はオンラインであいさつし、AIと芸術の融合の模索は、特区政府が推進する芸術・文化と革新的技術の発展という政策目標に合致していると指摘。祖国の揺るぎないサポートと社会各界共同の努力の下、香港は芸術・科学技術などの新興分野でブレークスルーを起こし、産業界ひいては人類に新たな機会をもたらすと確信していると述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News