【8月11日 AFP】米司法省は10日、ジョン・ボルトン(John Bolton)元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の殺害を計画したとして、イラン革命防衛隊(IRGC)の隊員を訴追したと発表した。

 訴追されたのは、シャハラム・プールサフィ(Shahram Poursafi)容疑者(45)。メフディ・レザイー(Mehdi Rezayi)という別名でも知られている。米国内の人物に、30万ドル(約4000万円)と引き換えにボルトン氏を殺害するよう依頼したとされる。IRGCのガセム・ソレイマニ(Qasem Soleimani)司令官が2020年1月に米国の無人機攻撃で殺害されたことへの報復とみられるという。

 イランは現在、15年のイラン核合意の再建に向けオーストリア・ウィーンで最近行われた協議で提示された合意案を検討している。イランは米国によるIRGCのテロ組織指定の解除を求めており、協議は数か月にわたり停滞していた。

 18年4月から19年9月までドナルド・トランプ(Donald Trump)前統領の下で安保担当補佐官を務めたボルトン氏は、外交政策の「タカ派」の筆頭で、対イラン政策では強硬派として知られ、イランとの核合意に強く反対していた。

 プールサフィ容疑者は21年10月、米国内の人物にインターネットを通じて接触し、ボルトン氏の写真撮影を依頼。その後、この人物に紹介された別の人物に、ボルトン氏の殺害を依頼した。だがこの2人目の人物は、米連邦捜査局(FBI)の情報提供者だった。

 容疑者は当初、報酬として25万ドル(約3300万円)を提示したが、その額は交渉を経て30万ドルに増加。さらに、別の「仕事」もあり、100万ドル(約1億3000万円)を支払う用意があると持ち掛けたという。依頼を受けた人物は、前金を要求。容疑者は今年4月、暗号通貨で合計100ドル(約1万3000円)を送金した

 訴追状によると、ボルトン氏は首都ワシントンの事務所の外で撮影された自身の写真を容疑者に送付することを許可していたことから、殺害計画について知らされ、捜査に協力していたとみられる。同氏は声明で、司法省とFBIに感謝し、イラン政府を「うそつきでテロリスト、米国の敵」と非難した。(c)AFP