【8月11日 AFP】中国で起こされていた画期的なセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)訴訟で、北京の裁判所は10日、原告女性の控訴を棄却した。同国で芽生えたばかりのセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」にとって打撃となる。

 原告の周暁●(●はおうへんに旋、Zhou Xiaoxuan)さん(29)は、国営テレビ局でインターンをしていた2014年、人気司会者の朱軍(Zhu Jun)氏に無理やりキスをされたり体を触られたりしたとして、2018年に被害を告発。ソーシャルメディアで話題を呼び、多くの人々が自身の性被害を公にするきっかけとなった。

 裁判所は昨年、証拠が不十分だとして周さんの訴えを棄却。周さんはこれを不服とし控訴したが、北京第1中級人民法院(Beijing No. 1 Intermediate People's Court)も同じく証拠不十分との理由で控訴を棄却した。

 周さんの裁判所到着に先立ち、警察は周辺の歩道を封鎖し、通行人の情報を記録していた。周さんは控訴に臨む前、AFPに対し「まだ少し怖く、めいっている。一審は深い二次被害になった」と告白。弁護団は控訴で、周さんによる被害の届け出後に警察が行った両親への聴取の記録や、監視カメラの映像など、先の裁判では使用されなかった証拠の提出を求める予定だと語っていた。

 裁判所には周さんを支援する少数の人々が集まり、「#MeToo」と書かれたプラカードや、文字の形をした風船で「がんばって」とのメッセージを掲げた。周さんは支援者に対し、「4年が経過したけれど、最も重要なことは、女性が閉ざされた空間でセクハラに遭ったとき、その苦痛は注意を払うに値するのだろうか、という疑問を提起したこと」と語り、「その答えはきょう出ないかもしれないけれど、重要なのはこの疑問を投げかけたことだ」とした。(c)AFP/Beiyi SEOW