【8月11日 AFP】インドの人気俳優でイスラム教徒のアーミル・カーン(Aamir Khan)さん(57)の過去の発言をめぐり、カーンさんが主演を務める最新作のボイコットを呼び掛ける動きが広がっている。

 インドでは、ヒンズー至上主義を掲げるナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相の下、映画界ボリウッド(Bollywood)でも少数派であるイスラム教徒に対する圧力が高まっている。

 カーンさんは『きっと、うまくいく(3 Idiots)』や『ダンガル きっと、つよくなる(Dangal)』などの大ヒット映画で主演を務めた。

 最新作『ラール・シン・チャッダ(原題、Laal Singh Chaddha)』は、トム・ハンクス(Tom Hanks)さんが主演を務めた1994年のハリウッド(Hollywood)映画『フォレスト・ガンプ/一期一会(Forrest Gump)』をリメークしたもの。今年最大のヒット作の一つになると期待されている。

 しかし、11日の公開を前に、カーンさんの2015年のインタビューに注目が集まった。カーンさんはその中で「恐怖心」が高まっているとし、当時の妻とインドを離れることも話し合っていると語った。

「妻は、子どものことや私たちを取り巻く雰囲気がどうなっていくのかと恐れ、毎日、新聞を開くのを怖がっている」

 ツイッター(Twitter)では、カーンさんの最新作のボイコットを呼び掛けるハッシュタグ「#BoycottLaalSinghChaddha」が作られ、先月以降20万件以上ツイートされた。その大半が、与党・インド人民党(BJP)の支持者によるものだった。

 ある人はツイッターに「アーミル・カーンはヒンズー教徒の女性2人と結婚したのに、子どもにはジュナイド、アザド、アイラと名付けた。(共演者でヒンズー教徒の)カリーナ(・カプール、Kareena Kapoor)はイスラム教徒と結婚し、子どもにタイムール、ジェハンギールと名付けた」と投稿。子どもたちが典型的なイスラム教徒の名前であることに言及した。

「これだけでもラール・シン・チャッダをボイコットするのに十分な理由になる。基本的にこの作品はボリウッドのラブ・ジハード(聖戦)・クラブによるものだ」と続けた。ラブ・ジハード・クラブとはイスラム教徒の男性がヒンズー教徒の女性に結婚を機に改宗を強制していると非難する、ヒンズー至上主義者が作った差別表現のこと。