【8月9日 People’s Daily】「良い山水が良い芋を作る」。作業をしている村人の代沢飛(Dai Zefei)さんは、「水が使いやすくなったので、安心して芋を育てて、春雨を作ることができた」と誇らしげに語った。

 代さんは、中国南西部の貴州省(Guizhou)銅仁市(Tongren)印江トゥチャ族ミャオ族自治県(Yinjiang Tujia and Miao Autonomous County)のある山村に住んでいる。同省はカルスト地形の山岳地帯にあり、傾斜が急で谷が深く、貯水・引水が難しかった。深刻な水不足は、常にこの地の人々の生活の悩みの種だった。

 近年、貴州省の飲料水や灌漑(かんがい)用水など農村部の水利インフラ整備が進む中、大型ダムの建設が加速している。現在、各県に中型ダム、各郷に安定した水源がある。2021年末に、省内の水利プロジェクトの設計給水能力は、132億立方メートルに達し、技術的な水不足問題はひとまず解決された。

 代さんの土地から遠くない、印江県(Yinjiang)清渡河ダムの水はきらきらと輝いている。今年4月、ダムは水門を閉じて貯水し、澄んだ水が絶え間なく流れ、近隣の2万人以上の人々の飲料水と2万ムー(約13平方キロメートル)の農地の灌漑のために十分な保障を提供した。

 水源の安定のためにダムを建設し、さらに家庭に水を引くためのパイプライン網を敷設する必要がある。過去5年間、貴州省は水利事業に1658億元(約3兆3100億円)を投資し、300の基幹水利プロジェクトの建設を着工した。農村部の水道水普及率は90.4%に上昇し、2131万人の農村住民の安全な水の利用を可能にした。

 山は青々として重なり合い、うっそうと茂るさくらんぼの木が山を背に広がっている。「今年のメノウレッドさくらんぼは豊作で、10万元以上稼げた」と、畢節市(Bijie)納雍県(Nayong)厙東関郷(Shedongguan)の大規模農家の楊才貌(Yang Caimao)さんは嬉しそうに語った。

 さくらんぼ園は山の斜面にあることが多く、山の上に水を引くことが難しかった。楊さんは、「今では、村には池もパイプもあり、清水が山に運ばれ、さくらんぼは豊かな水に恵まれている」と述べた。

 灌漑の改革は、貴州省の山間部の近代的な水利プロジェクトである納雍県厙東関郷の試行区建設によるものだ。「貯水池、揚水管、支管が一体となって山間部の灌漑ネットワークを構成し、1650ムー(約1平方キロメートル)のさくらんぼに必要な水を効果的に保障している」と、プロジェクト責任者の蒙文芸(Meng Wenyi)さんは紹介した。

 水が使いやすくなり、水環境も良くなっている。黔南プイ族ミャオ族自治州(Qiannan Buyei and Miao Autonomous Prefecture)竜里県(Longli)竜山鎮(Longshan)に入ると、朵花河が村に沿って流れているのがわかる。「私たちのよい生活には水が欠かせない」。竜山コミュニティーの村民の王徳林(Wang Delin)さんは、「ふるさとの川が澄んで美しくなると、グリーン産業の発展にも、アグリエンターテインメントの運営にも、問題はなくなった」と語った。

 乱雑でむやみな排水のため、河道がふさがれ、朵花河は「臭い排水溝」となっていた。2020年、竜里県は中国初の水系連結・水の美しい村建設試行県の一つとなった。総投資額4億5500万元(約90億8400万円)の総合水系整備プロジェクトがスタート・実施され、農村の水系を計画的に回復させることができた。将来的には、農家が住みやすい水環境を享受でき、より多くの水に恵まれた美しい村が増えていくだろう。

 中国ではここ数年、農村部の水利インフラ整備が着実に進んだ。水利部のデータによると、2021年の中国農村部の水道水普及率は84%に達し、史上最高値を更新し、9万9000件の農村部水道工事の補修・整備が完了した。3800キロ以上の農村河道と1300以上の湖沼を整備し、3300以上の村に恩恵をもたらし、農村河川と湖沼の生態環境は著しく改善されたという。(c)People’s Daily/AFPBB News