【8月15日 People’s Daily】中国宝武太鋼ステンレス精密帯鋼有限公司に入ると、鋼帯は圧延、伸ばし・矯め、縦切り、バフ研磨などの工程を経て、異なる規格の高強度「鋼箔」に生まれ変わる。同社の主力製品の「ちぎりスチール」は、ここの生産ラインから生まれ、航空宇宙、ハイエンドエレクトロニクス、新エネルギーなどの分野へと進出していく。

「2021年、『ちぎりスチール』の生産販売量は2020年比で2倍、営業収入は30%以上、利益は2倍近く増加した」と、同社の王天翔(Wang Tianxiang)マネジャーは、この吉報を報告した。過去には、中国企業はちぎりスチールを生産できず、1トンの輸入には100万元(約1997万円)もかかった。宝武太鋼による開発以降、価格はたちまち半値になり、出荷期間も半年から1か月に短縮された。

 厚さわずか0.015ミリメートルの「ちぎりスチール」、髪の毛よりも細い加工精度の「ペン先スチール」から、大型鉄骨柱、高速鉄道の車軸に至るまで。「現在、中国は世界で最も完全な産業チェーンと最大の鉄鋼産業システムを確立し、世界最先端の設備、プロセス、技術を備え、最も豊富で完備された鉄鋼製品を提供できる」と、中国鉄鋼工業協会の何文波(He Wenbo)党委員会書記は述べた。

 1996年の1億トン以上の鉄鋼生産量で世界第1位に躍り出て以来、中国は26年連続で鉄鋼生産量、消費量ともに世界第1位を維持している。2021年、中国の鉄鋼生産量は10億3500万トンに達し、世界生産量の53%を占め、世界第1位の鉄鋼生産国としての地位を確固なものとしている。中国の鉄鋼業もイノベーション主導、インテリジェント製造、グリーン・低炭素という新たな発展の道を徐々に歩み出している。

 ワンプッシュ製鋼、遠隔運用・メンテナンス、産業用ロボット。近年、中国の多くの鉄鋼メーカーは、ビッグデータ、人工知能(AI)、産業インターネットなどの先端技術を活用し、新世代の情報技術と工業シーンの融合・応用を進め、生産効率や経営効率を効果的に高めている。宝武、沙鋼(江蘇沙鋼集団)、南鋼(南京鉄鋼集団)などの企業は、「消灯工場」やスマート工場を建設し、24時間の無人化・少人化を実現している。現在、冶金産業の主要工程における数値制御化率は66%に達している。また、デジタルによる変革により、鉄鋼メーカーは製鉄・製鋼工程のコストの大幅な削減が可能となった。

「ダブルカーボン」目標は、鉄鋼業の発展モデルの根本的な変革を促している。2021年末までに、鉄鋼業は34社、約2億2500万トンの鉄鋼生産において、超低排出化への改造のコミットメントを達成した。

 中国鉄鋼工業協会の統計によると、2012年と比較し、2021年、中国の主要鉄鋼メーカーの鉄鋼1トン当たりの平均総合エネルギー消費量は、標準炭602.71キロから550.43キロに低下し、世界の先進水準との差が大幅に縮小した。鉄鋼1トン当たりの二酸化硫黄と煙塵の排出量削減もそれぞれ81.41%、63.44%に達している。また、2025年までに、粗鋼生産量全体に占める電炉鋼生産量の割合が15%以上になると予想されているという。

 今年2月、中国工業・情報化部などの官庁は、「鉄鋼業の高品質発展の促進に関する指導意見」を発表し、今後一定期間の鉄鋼業発展の目標路線を明らかにした。将来、中国の鉄鋼業は質の高い発展の道を着実に進み、より良い発展のニーズに応えていくだろう。(c)People’s Daily/AFPBB News