【8月9日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)、ブルックリン・ネッツ(Brooklyn Nets)のジョー・ツァイ(Joe Tsai)オーナーは8日、スーパースターのケビン・デュラント(Kevin Durant)から、スティーブ・ナッシュ(Steve Nash)ヘッドコーチ(HC)とショーン・マークス(Sean Marks)ゼネラルマネジャー(GM)を引き合いに「彼らか自分か」と選択を迫られたとの報道を受け、チームの首脳陣を擁護した。

 米ウェブサイトのジ・アスレチック(The Athletic)はこの日、デュラントが英ロンドンでツァイ氏と面会した際に、ナッシュHCとマークスGMが役職にとどまる限り、チームに残留するつもりはないと最後通告をしたと報じた。

 ツァイ氏は自身のツイッター(Twitter)アカウントに、「われわれのフロントオフィスとコーチ陣は、私の支持を得ている」と投稿し、「われわれは、ブルックリン・ネッツにとって最大の利益になる決断を下す」と自身の立場を明確にした。

 この決断は、6月にトレードを要求したデュラントとネッツの関係を修復不可能にするとみられる。

 33歳のデュラントは、昨季のプレーオフ1回戦でチームがボストン・セルティックス(Boston Celtics)にスイープ負けを喫した後、チームの方向性に関して信頼を失ったとほのめかしていた。

 NBAファイナルを2度制し、2013-14シーズンにはレギュラーシーズン最優秀選手(MVP)に選出されているデュラントは、1年前にネッツと4年間の契約延長にサインしており、来季はその1年目となる。

 ネッツは昨季、主力選手のジェームズ・ハーデン(James Harden)をフィラデルフィア・セブンティシクサーズ(Philadelphia 76ers)にトレードしたほか、カイリー・アービング(Kyrie Irving)も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン未接種によりシーズンの大半を棒に振り、44勝38敗に終わった。

 カナダ出身で現在48歳のナッシュHCは、現役時代にポイントガード(PG)として2度のレギュラーシーズンMVPを受賞。2020-21シーズンにネッツの指揮官に就任し、ここまでの2シーズンでチームを通算92勝62敗の成績に導いた。一方、ニュージーランド人選手で史上初のNBAプレーヤーとなった46歳のマークス氏は、現役時代の2004-05シーズンと、アシスタントコーチ時代の2013-14シーズンの2度にわたって、サンアントニオ・スパーズ(San Antonio Spurs)でNBAファイナル制覇を経験している。

 ツァイ氏は以前、ネッツから力ずくでデュラントを獲得するには、選手やドラフト指名権など、複数チームによる複雑な交換トレードがなければ、リーグの大半のチームが参加できないほどの巨額の支払いが必要だと述べていた。

 デュラントの獲得に動くとみられる最有力候補は、セルティックスやマイアミ・ヒート(Miami Heat)、そしてトロント・ラプターズ(Toronto Raptors)となっている。

 アービングは3650万ドル(約49億円)の契約オプションで来季も残留することを選択したが、チームの長期的な将来はデュラントの運命次第となっている。

 ネッツはまた、ハーデンとの交換トレードで加入したオーストラリア出身のベン・シモンズ(Ben Simmons)が、腰の手術から復帰してバックコートに勢いをもたらすことを期待している。(c)AFP