【8月16日 AFP】イランの首都テヘランの有名なグランドバザールの一角にひっそりとたたずむ、同国で最も古いピスタチオの卸売商。いまこの店で「小さな革命」が起きようとしている。

 男性ばかりのこの業界にあって、アッバース・イマーミーさん(88)が、末娘のマルジャンさん(50)に事業を継承しようとしているのだ。

 一家がいつこの仕事を始めたのか、アッバースさんも正確には知らない。父親は母方の祖父が営んでいた店で働き、後に自分の店を持った。アッバースさんは15歳の時に父の仕事を手伝い始め、1975年に事業を引き継いだ。アッバースさんの店にあるピスタチオの袋には「1世紀を超える経験」の文字が見える。

 70年以上もこの仕事をしてきたアッバースさんだが、新型コロナウイルス感染への懸念から店に来るのを控えるようになり、マルジャンさんが店で働くようになった。「適正価格で仕入れるのは簡単ではありません」とマルジャンさん。「加工や衛生管理、保存もとても重要です」

「5品種のピスタチオを仕入れている。外観、味、大きさ、品質が異なり、価格も異なる」とアッバースさん。「なんといっても、学ぶ必要がある。簡単な仕事ではないが、娘は学ぶだろう」

 イランはトルコ、中国に続く世界3位のピスタチオ消費国で、昨年10月の収穫期には28万トンを生産した。半分はイラン国内で消費され、残りは約75か国に輸出される。

 輸出金額は9億ドル(約1200億円)相当に上り、イラン経済の主要な産業の一つとなっている。

 映像は6月に取材したもの。(c)AFP/Sammy Ketz and Ahmad Parhizi