【8月8日 People’s Daily】中国の衛星測位システム「北斗(Beidou)」の高精度時空サービスは幅広い用途に使われている。農業では遠隔操作によるトラクターや田植え機、ドローンの種まき作業などの操作を実現。さらに森林やダムの監視、都市のごみ収集・輸送の管理、エベレストの高さの測量支援など、社会のあらゆる面で貢献している。

 北斗測位機能を備えた端末製品は昨年末で10億台を超えた。運輸、農業、林業、畜産、漁業などの産業を支え、電力、金融、通信などのインフラを統合し、多くの消費分野に広く参入している。スマートフォンの北斗対応機種は2021年で3億2400万台に達し、国内出荷台数の94.5%を占めている。

 今年3月、北斗高精度時空サービスの月間使用回数は1000億回を超えており、このうち加速支援測位サービスのリクエストが600億回、リアルタイムセンチメートル級・リアルタイム準メートル級の高精度測位サービスのリクエストが480億回を超えている。加速支援測位サービスは中国のスマートフォンの標準となり、自動車やドローン、シェア自転車、バスから都市道路インフラ、橋、鉱山などに至るまで、あらゆる種類の高精度時空間サービスを提供している。高精度時空サービスは世界の100以上の国・地域をカバーし、11億人以上の人々にサービスを提供している。

 コネクテッドカーや無人配送車との連携をはじめ、北斗システムは多くの産業のデジタル化・スマート化を後押ししている。「北斗衛星測位システム」プロジェクトの楊長風(Yang Changfeng)チーフエンジニアは「北斗衛星航法システムは時間と空間の情報を提供することで、デジタル産業のコラボレーションやトランスフォーメーションを促進している」と話す。

「第14次交通科学技術革新5か年計画」では、北斗システムにより輸送、海運、鉄道、航空、郵便分野のスマート化を促進するとしている。楊氏は「北斗システムを活用した産業規模は2025年以降に1兆元(約19兆9600億円)に達する」と予想。2035年までに北斗システムは中国を統合する中核的地位を占めるとともに、屋内から深海、空中まですべてをカバーしたサービスで人類に利益をもたらすとみている。(c)People’s Daily/AFPBB News