【8月7日 AFP】スリランカはこのほど、中国に対し、中国船「遠望5号(Yuan Wang 5)」のスリランカへの入港を無期限で延期するよう要請した。同国政府筋が6日、明らかにした。この船についてインドのメディアは、「諜報(ちょうほう)船」だと報じ、インド政府がスリランカに圧力をかけたとしている。

 船舶の位置情報などを提供するウェブサイト「マリントラフィック(marinetraffic.com)」によると、遠望5号は、中国東部江蘇(Jiangsu)省の江陰(Jiangyin)港から、スリランカ国内で中国が運営するハンバントタ(Hambantota)港へ向かっており、11日に到着予定。

 遠望5号は調査・測量船とされているが、インドのCNNニュース18(CNN News 18)は、軍民両用のスパイ船で、特に大陸間弾道ミサイル発射の衛星追跡を行うと報じている。

 印メディアによると、インド政府は遠望5号がスパイ活動に使われる恐れがあるとし、スリランカ政府に圧力をかけた。インドは隣国スリランカで、中国の影響力が拡大していることを懸念している。

 関係者は6日、AFPに対し、スリランカ外務省が中国大使館に、遠望5号を入港させないよう要請したと述べた。

 スリランカのラニル・ウィクラマシンハ(Ranil Wickremesinghe)大統領は5日、各党の党首に、遠望5号が予定通り11日に入港することはないと伝えた。

 史上最悪の経済危機に陥っているスリランカでは先月、ゴタバヤ・ラジャパクサ(Gotabaya Rajapaksa)前大統領が国外に脱出し、辞任を表明。兄のマヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)氏は大統領を務めた2005~15年、中国から巨額の融資を受けていた。(c)AFP