【8月6日 AFP】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は6日、広島市で開かれた平和記念式典でのあいさつで「人類は実弾が込められた銃で遊んでいる」と述べ、世界で核による危機が急速に広がっている現状に懸念を表明した。

 米国が1945年8月6日に広島に投下した原爆では、同年末までに被爆によって約14万人が死亡したとされる。

 グテレス氏は「この街で、数万人が一瞬のうちに命を落とした。女性も子どもも男性も、地獄のような炎で焼かれた」「生き残った人々は(がんやさまざまな病気などの)放射線による後遺症に苦しむことになった」と述べ、「私たちは問わなければならない。この街の空に膨れ上がったきのこ雲から、われわれは何を学んできたのだろうと」と続けた。

 さらに「中東、朝鮮半島(Korean Peninsula)、ロシアのウクライナ侵攻など、核を背景とした危機が急速に広がっている」として、今週、米ニューヨークの国連本部での核拡散防止条約(NPT)の再検討会議で出された懸念を改めて示し、「人類は実弾が込められた銃で遊んでいる」と警鐘を鳴らした。

 グテレス氏が平和記念式典に参列したのは初。昨年は新型コロナウイルス流行の影響を受け、断念していた。(c)AFP