【8月5日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は3日、欧州諸国の元首脳がロシアのために働くのは「不快極まる」と非難した。ドイツのゲアハルト・シュレーダー(Gerhard Schroeder)元首相(78)が、ロシアは戦争の「交渉による解決」を望んでいると発言したことに言及したものとみられる。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)前首相の前任者で、1998~2005年に首相を務めたシュレーダー氏はドイツメディアのインタビューに応じ、先週モスクワでロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と面会したことに言及。「良い知らせは、クレムリン(ロシア大統領府、Kremlin)が交渉による解決を望んでいることだ」と発言した。

 さらに、ロシアからドイツに天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム2(Nord Stream 2)」の稼働を再考するようドイツ政府に提案。同パイプラインは昨年9月に完成したが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、ドイツ政府は稼働に向けた手続きを停止していた。

 ゼレンスキー大統領は毎日恒例のビデオ演説で、シュレーダー氏の名前には直接触れず、「欧州の価値観を持つ強力な国家の元指導者が、この価値観にあらがっているロシアのために働くのは不快極まるとしか言いようがない」と糾弾した。

 ロシアがウクライナ侵攻を開始して以降、ドイツではシュレーダー氏に対し、プーチン氏や同国の大手エネルギー企業との関係を断つよう求める圧力が強まっている。独議会は5月、シュレーダー氏から事務所や職員の人件費の支給などの特権を剥奪することを決定した。

 シュレーダー氏は、ロシアのウクライナ侵攻を正当化できないものとして非難しつつも、ロシア政府との対話は続けるべきだと主張している。(c)AFP