【8月3日 東方新報】海外化粧品を長年好んでいた中国で国産ブランドが躍進し、化粧品業界の構図が大きく変わっている。

 7月末の中国メディアの報道によると、ロレアル(L'Oreal)傘下の米国の化粧品ブランド「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」が中国全土で実店舗を閉鎖すると決定。各地で撤退が進んでいるという。

 メイベリンは1997年に中国に進出。手頃な価格の大衆化粧品を主力とし、「学生たちが生まれて初めて使う化粧品」といわれた。「中国のすべての女性にメイベリンの口紅を」と大々的に宣伝され、2009年には660都市に1万2870店舗を構えていた。

 長年、シェアトップの座を守り続けてきたメイベリンだが、近年は日本や韓国、国内ブランドとの競争で守勢に立たされている。特に2017年に立ち上がったばかりの中国のコスメブランド「完美日記(Perfect Diary)」と「花西子(Florasis)」が快進撃を続けている。「完美日記」は動物や美しい風景をプリントしたパッケージ、彫刻風デザインをスティックにほどこした「彫刻リップ」など、芸術的な商品が特徴。「花西子」は中国の伝統文化を生かしたパッケージに、ハスやツバキの花のエキスを用いたファンデーションなど、「古風コスメ」を売り物にしている。海外ブランドと提携している品質の整った工場で商品を受託生産し、販売はインターネットが中心。主力商品は100元(約1979円)以下とお手ごろだ。低価格で高品質、さらに中国の伝統文化を好むZ世代のハートをくすぐるデザイン。同じ価格帯を得意とするメイベリンに大打撃を与えた形だ。

 メイベリンは2018~2020年に中国でショッピングセンターの店舗を次々と撤退。単独店は経営を続けていたが、今回の全面撤退報道に、インターネットでは「十数年前、初めて買ったのがメイベリンのマスカラだった」「私の青春の一部だった」と昔を懐かしむ書き込みが相次いだ。

 ただ、メイベリンは「戦略的な変革を実施し、今後もより高品質なアイテムを提供する」と声明を発表。中国市場から撤退せず、今後はインターネットを通じた販売戦略に特化するようだ。中国で人気のSNS「微信(ウィーチャット、WeChat)」「抖音(Douyin)」「拼多多(Pinduoduo)」に専門チャンネルを持ち、巻き返しを図ろうとしている。

「美は内面に宿る。外見を装う必要はない」という伝統的意識が残る中国では、今も化粧をする女性は多くはない。逆に言えば広大な未開拓の市場があると言える。実際、化粧をする女性の割合は年々増えており、海外・国内ブランドが競い合う大開拓時代は今後も続きそうだ。(c)東方新報/AFPBB News