【8月3日 AFP】米国がアフガニスタンの首都カブールで実施した無人機攻撃で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者アイマン・ザワヒリ(Ayman al-Zawahiri)容疑者を殺害したと発表したこと受け、アフガンの人々は2日、ザワヒリ容疑者がカブールに潜伏していたとは信じられないとして、ショックや疑念を表明した。

 米政府高官によると、ザワヒリ容疑者は先月31日早朝、カブールの高級地区シェルプール(Sherpur)にある3階建て住宅のバルコニーにいたところ、ヘルファイア(Hellfire)ミサイル2発を受けて死亡した。

 だが同市在住のファヒム・シャーさん(66)はAFPに対し、「ただのプロパガンダだ」と断言。「過去にもこうしたプロパガンダはあったが、結局何もなかった」とし、「彼がここで殺されたとは思わない」と語った。

 アフガンの政権を握るイスラム主義組織タリバン(Taliban)は31日の時点で、無人機攻撃があったとの情報を否定。今月2日には一転、米国が無人機攻撃を行ったと認めたものの、攻撃を受けた人についての詳細は明らかにせず、ザワヒリ容疑者の名前にも言及しなかった。

 当日の朝に攻撃の音を聞いたという同市在住のアブドル・カビルさんは、米国に殺害対象の身元を証明するよう要求。「私たちは、米国が別の人を殺して、アルカイダの指導者だったと発表したのだと考えている」と話し、ザワヒリ容疑者の潜伏先にはパキスタンやイラクなど、さまざまな場所があり得ると指摘した。

 今回の無人機攻撃が、すでに険悪となっている米国とタリバンの関係をさらに悪化させることは確実だ。タリバンは2020年、アフガンを過激派の温床としないとする誓約が含まれた和平合意に署名。この合意は、米軍が昨年アフガンから撤退する下地となった。

 大学生のモハマド・ビラルさんも、ザワヒリ容疑者がカブールに住んでいた可能性は低いと考えている。「タリバンを含め、大半のテロ組織の指導者は、旧アフガン軍と対立していた際、パキスタンやアラブ首長国連邦(UAE)に住んでいた」と指摘し、アルカイダが指導者をアフガンに送り込むとは考えられないと話した。

 だが中には、カブールにザワヒリ容疑者が潜伏していたと信じている人もいる。

 匿名を条件に取材に応じた同市在住の主婦は、ザワヒリ容疑者の殺害を知って衝撃を受けたといい、「彼がここに住んでいたと知って、とても不愉快だ」と話した。

 同じく名前を伏せて取材に応じた小売業の男性は、米国の発表にそれほど驚かなかったという。「どんなテロ組織でも、簡単に私たちの土地に入り、利用し、出て行くことができる」と語ると、「この国には良い政府がない。自分たちや土地、財産を守ることができない」と嘆いた。(c)AFP/Abdullah HASRAT