【7月30日 Xinhua News】恐竜と言えば、多くの人がジュラシック・シリーズなど米国映画に出てくる姿を思い起こすかもしれないが、中国もかつては恐竜の楽園だった。中国古動物館の統計によると、中国では今年4月の時点で、骨格化石に基づき338種の恐竜を命名している。これらの恐竜が存在していた年代は、ジュラ紀初期から白亜紀後期までの各時期にまたがる。

 2017年に「中国恐竜の故郷」の称号を受けた江西省(Jiangxi)贛州市(Ganzhou)では、贛州江西竜(ジアングシサウルス・ガンジョウエンシス)、江西南康竜(ナンカンジア・ジアングシエンシス)、南康贛州竜(ガンジョウサウルス・ナンカンゲンシス)、中華虔州竜(チアンジョウサウルス)など9種の新種が発見されている。うち、中華虔州竜は、ティラノサウルスの新たな属と確認された。中華虔州竜の骨格化石は保存状態が非常に良く、日本でも18年に94日間展示され、延べ26万人以上が見学した。

 贛州では恐竜の卵の化石も多く出土している。19年の「贛南地区恐竜の卵の化石産地モデル調査」によると、贛州には恐竜の卵の化石産地が92カ所以上、集中的な分布地域が5カ所ある。贛州は現時点で世界唯一の恐竜の胚(胎児)の化石が集中している産地でもある。胚の化石は恐竜の発育研究にとって重要な価値があり、その特別な科学的価値から恐竜の卵化石の中でも貴重な宝と見なされている。

 既存の化石記録から判断すると、贛州の恐竜のほとんどは白亜紀末期に生きていた。中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の汪筱林(Wang Xiaolin)研究員は、恐竜絶滅に非常に近い時期でもあることから、贛州の恐竜と恐竜卵の化石群の研究は地球で起きた5回目の大量絶滅をより深く理解する助けになる可能性があるとの見方を示した。

 贛州には現在、恐竜化石産地保護基地が2カ所設立されており、南康区恐竜博物館の建設も進んでいる。将来はこの地が「ジュラシック・パーク」になるかもしれない。(c)Xinhua News/AFPBB News