【7月29日 AFP】エチオピア陸上連盟(EAF)のデラルツ・ツル(Derartu Tulu)会長は28日、第18回世界陸上オレゴン大会(World Athletics Championships Oregon 22)のメダリスト数人の出身地で、内戦の影響で分断されている北部ティグレ(Tigray)州へのアクセスを緩和するようエチオピア政府に訴えた。

 2020年11月にエチオピア連邦政府とティグレ州の旧与党勢力「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」の軍事衝突が勃発したことにより、同州は国内の他の地域から孤立した状態となっている。

 米オレゴン州ユージーン(Eugene)で先日まで開催されていた世界陸上に参加したエチオピアの選手では、女子マラソンを制したゴティトム・ゲブレシラシエ(Gotytom Gebreslase)を含めた金メダリスト3人と、銀メダリスト1人がティグレ州の出身だ。

 自身も現役時代に陸上女子長距離で五輪金メダルに輝いたツル会長は、「ティグレ州の選手はまだ家族と会えていない。大統領と政府がこの問題を解決してくれることを期待している」と訴えた。

 また会長によれば、一部の選手はティグレ州から出られず、今回の世界陸上に出場できなかったという。エチオピアは今大会で計10個のメダルを獲得し、メダル順位では米国に次ぐ2位を記録した。

 紛争は3月下旬に人道的休戦が宣言されて以降、落ち着きを見せているが、人道支援団体などによると、ティグレ州では依然として食料や燃料が極度に不足しているほか、電気や銀行などのインフラサービスが機能していないという。(c)AFP