【7月29日 AFP】米中西部インディアナ州の刑務所で、刑務官から女子居房の鍵を買った男性受刑者らに性的暴行を受けるなどの「恐怖の一夜」を過ごしたとして、女性受刑者らが刑務官を相手取り連邦地裁に2件の民事訴訟を起こした。

 原告団はジェファーソンビル(Jeffersonville)にあるクラーク郡(Clark County)刑務所に収容されている女性受刑者28人。デービッド・ロー(David Lowe)刑務官が男性受刑者らに居房の鍵を1000ドル(約14万円)で売り渡したために、2021年10月23日午前0時すぎに男性受刑者らに襲われたと主張している。

 男性受刑者らはタオルや毛布で顔を隠し、約2時間にわたり暴行を続けた。監視カメラが設置されていたにもかかわらず、刑務官が駆けつけることはなかったとされる。訴状の一つは「こうした組織的な欠陥によって大勢の男性受刑者が刑務所内を何時間も動き回るのを放置したために、原告団を含む犠牲者が恐怖の一夜を過ごすことになった」としている。

 訴状によると、原告団は男性受刑者に体をまさぐられたり、下着を脱がされたり、性的な言葉や脅迫的な言葉を浴びせられたりしたという。原告団のうち2人は、レイプされたと主張している。

 原告団は被害者だが、居房の照明を72時間つけっぱなしにして謹慎させられたり、私物を没収されたりするなどの懲罰を受けたという。

 ロー刑務官に加えて、受刑者を保護する責任を果たさなかったとして、クラーク郡のジェイミー・ノエル(Jamey Noel)保安官も訴えられている。

 ロー刑務官は米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に対し、女子居房の鍵は男性受刑者に盗まれたもので、襲撃について知ったのは数日後だと説明している。(c)AFP