【8月2日 AFP】ロシアの支配下にあるウクライナ東部の村で農場を経営するビクトル・モロトクさんは、数トン分の穀物の山の前で笑いながらこう話した。「われわれが食べ物に困ることはないだろう、それは間違いない。だが欧州はどうだろうか…そこまでの確信は持てない」

 AFPは、ロシア軍が主催する厳重な監視下で行われたプレスツアーに参加し、モロトクさんに話を聞いた。

 モロトクさんは、ロシア側が7月上旬に完全制圧を主張したルガンスク(Lugansk)州のカルムイキウカ(Kalmykivka)で、5500ヘクタールの農場を経営している。

 モロトクさんは政治の話は一切しなかった。事業については、ロシアの侵攻にもかかわらずうまくいっていると述べ、変わったのは取引先だと明かした。今ではヒマワリの種などの作物を、ロシアの顧客に販売しているという。

 以前と同様に農場経営を続けており、一人の従業員もやめていないと主張するモロトクさんは、事業計画の転換が必要と考え、ロシアの企業と交渉を始めたと話した。「最も高い買値を提示してくれる会社、それが誰であろうとわれわれはそこに売る」

 ウクライナ政府は、ロシア政府が占領地で農作物を盗み、ロシア国内での消費に充てたり、海外へ転売したりしているほか、農産物に被害を与えるため畑を爆撃することさえあると非難。ロシア側はこれを否定している。