【8月1日 AFP】スペインの首都マドリード近郊にある広大な埋め立て地で、数百羽のコウノトリがごみをあさっている。

 欧州のコウノトリは、冬になるとアフリカへ渡り、春になると戻ってくる。しかし、温暖化に加えて、ごみ埋め立て地で豊富な餌を見つけられることから、スペインで冬を越す個体が増えている。

「ドン・キホーテ(Don Quixote)」の作者ミゲル・デ・セルバンテス(Miguel de Cervantes)の故郷アルカラデエナレス(Alcala de Henares)でも、街のシンボルにもなるほど増えたコウノトリが、鐘楼やアンテナに巣を作っている。

 市当局の獣医師アルムデナ・ソリアーノ(Almudena Soriano)氏は、「約70%のコウノトリがアフリカに渡らなくなった」と推測する。

 スペインとモロッコを隔てるジブラルタル海峡(Strait of Gibraltar)はわずか14キロだが、強風にあおられがちで、多くの渡り鳥が途中で死んでしまう。だが、スペインの埋め立て地で餌が見つかれば、渡りの危険を回避することができる。

「ここを渡ったことがあるコウノトリの成鳥は、同じ危険を繰り返したがらないのです」とソリアーノ氏。「餌を求めて移動するコウノトリにとって、ごみ埋め立て地は食べ放題のビュッフェのようなもの。もう帰る必要はないのです」 (c)AFP/Marie GIFFARD