【7月28日 People’s Daily】最大25キロの「ダブルココナツ」の種子、ちりのように軽いミヤマウズラの種子、200以上の中国国内外品種のボタンがある。最近正式に発足した中国国家植物園は、生気に満ちあふれている。

 国家植物園は中国の植物多様性保全基地だ。習近平(Xi Jinping)国家主席は、「生物多様性条約(CBD)」第15回締約国会議首脳会議(COP15)で、現地保全と生息域外保全を結びつける原則に基づき、北京市、広州市(Guangzhou)などの国家植物園体制の構築を開始すると発表した。

 国家植物園体制の重要な構成部分として、今回設立された同園は、中国科学院植物研究所(南園)と北京市植物園(北園)の現況のもとに、拡大・効率化により有機的に統合されたものだ。計600ヘクタール近い計画面積を持ち、3万種以上の植物と五大陸の代表植物標本500万点を収集する予定で、中国トップの科学研究力と植物の生息域外保全レベルを備える。計画によると、同園は植物科学研究センター、生息域外保全研究センター、遺伝資源保存センター、標本館2期、五大陸温室群などのプロジェクトも順次完成し、28の特別専門園も建設される予定だ。

 豊富な種のコレクションは、同園の大きな特徴だ。植物資源の保護方法は、現地保全と生息域外保全に分けられる。一般の植物園や公園とは異なり、同園には植物の生息域外保全と科学的研究という重要機能がある。資源の生息域外保全、植物の科学的研究にしても、科学発信、園林・園芸展示にしても、いずれも豊富な種のコレクションを基盤とする必要がある。紹介によると、同園はこれまでに1万5000種以上の植物を生息域外保全している。そのうち1000種近くは希少な絶滅危惧植物で、「国家重点保護野生植物リスト」に登録されている中国の重点保護植物も300種以上含まれているという。

「植物園」から「国家植物園」へのアップグレードは、優位な資源の統合に加え、社会サービス機能の拡大も重要な意味をもっている。国家植物園は、生息域外保全、科学的研究のみならず、科学普及、園林・園芸展示、生態レジャーなどの機能を兼ね備えた総合的な場所でもある。同園は、植物の生息域外保全や科学的研究の他、社会にハイレベルな植物科学普及教育、技術訓練、健康的なレクリエーションサービスを提供している。全ての人々に自然の美しさをめで、分かち合ってもらうことは、国家植物園の機能であり、魅力でもある。

 中国は植物多様性において世界で最も豊かな国の一つであり、高等植物の既知種のうち3万7000種以上を有しており、世界全体の約1/10を占めている。近年、中国の植物の科学的研究は急速に発展しているが、欠点のある分野もいくつかある。将来的には、一部のハイレベルな国家植物園の選定・建設を通じ、国家公園を主体とする現地保全体制と有機的な結合・補完により、中国全土での植物多様性保全や持続可能な利用を促進し、中国の野生在来植物の85%以上とすべての重点保護野生植物種の生息域外保全という目標の達成に役立てる。(c)People’s Daily/AFPBB News