【7月27日 People’s Daily】中国内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)バヤンノール市(Bayan Nur)先鋒鎮(Xianfeng)にある300ムー(約20万平方メートル)以上のウマゴヤシの緑地は、脱硫副産物を利用して改良した塩害荒地の改造試験プロジェクトだ。塩害地の改良に使われた土壌改良剤は、実は製鉄所の鉄鋼スラグ固形廃棄物処理の副産物なのだ。

 包頭鋼鉄集団(包鋼グループ)では、毎年200万トン以上の鉄鋼スラグが発生しており、長年にわたって蓄積された鉄鋼スラグは、山のように積み重なり、土地資源を占有するだけでなく、大気汚染も引き起こしている。鉄鋼スラグ固形廃棄物の処理のために、同グループ傘下の慶華煤化工公司は、民間の科学技術企業が開発した脱硫プロジェクトを導入した。「鉄鋼スラグ法による脱硫」の技術を通じ、二酸化硫黄などの排ガスを処理し、年間7000トンの鉄鋼スラグを消費することができる。そして、脱硫により発生した1万トン近い脱硫副産物は、土壌改良の原料となった。

 包鋼慶華工場の敷地内には、「太極環境保護」脱硫装置を設置した3基の75トン循環流動床ボイラーの煙突がそびえ立っている。鉄鋼スラグを研磨して粉にし、水を加えてペースト状にし、脱硫塔に噴霧し、一連の化学反応の後に、残った脱硫副産物が土壌改良剤になるのだと、企業の担当者は紹介した。

 脱硫副産物は、大粒で硬いザラザラした製鉄所の廃棄物とは異なり、水分を含んだ土のように、きめが細かい粉状のものだ。これは最終製品ではなく、技術者がそれぞれの土壌の「肌」に合わせて調合し、微量元素を加え、土の質を向上させる土壌肥料になるのだ。

「塩害地の土壌はコロイドのように、塩分をずっと吸収している。脱硫副産物が入ると、自身のカルシウムや鉄を通して、土中のカリウム、ナトリウム、マグネシウムなどイオンを入れ替え、その後に水をやることで塩分を出すことができる。また、地下や周辺の土地に塩分が還流しないようにする対策もとっている。塩分が減ると、作物作りに適した土地になる」。寧波太極環境保護設備有限公司の史躍展(Shi Yuezhan)マネジャーは、「固形廃棄物の処理は、振り返らずに先を見ることはできない、グリーンチェーンを形成し、真の循環経済を実現しなければならない」と述べた。

 史氏の紹介によると、従来の脱硫剤である石灰石、石灰の代わりに、鉄鋼スラグを利用するには、石灰石資源を節約するだけでなく、石灰の生産過程で発生する二酸化炭素の除去にもつながるという。

 国家レベルの専精特新(専門性・精密化・差別化・新規性)「小さな巨人」企業として、研究開発への継続的な投資により、太極環境保護公司はイノベーションの利益を実感した。浙江省(Zhejiang)慈渓市(Cixi)には、このような国家レベルの「小さな巨人」企業が30社もある。これらの「小さな巨人」は、自主革新を企業発展の原動力とし、科学技術イノベーションの成果の実用化率を向上させ、研究開発の成果を実質的な生産力に転換することに注力している。

「今後数年間、研究開発への投資を引き続き増やし、『太極環境保護研究開発基金』の支援を拡大し、科学技術者の技術革新や新製品の開発を奨励し、科学技術成果の実用化をさらに加速させる」と、史氏は述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News