【7月26日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は25日、2024年パリ五輪の開幕まで約2年となる中、安全面や予算面で問題を抱えている大会準備への不安を解消するべく、政府高官らと面会した。

 スポーツ界最大のイベントである五輪は、近代的なアイデンティティーと世界に開かれたフランスのイメージを投影するものとなり、4月に再選を果たしたマクロン大統領の2期目にとって最重要案件となっている。

 しかし、2024年7月26日の開会式が近づく中、高まる懸念はコスト面にとどまらず、セキュリティー面の準備にも広がっている。

 5月28日にパリで行われたサッカー欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2021-22)決勝のリバプール(Liverpool FC)対レアル・マドリード(Real Madrid)戦では、強引な警備態勢によるものと批判の声が上がった混乱が起きたことから、スポーツ大会の開催地として信頼を得ていたフランスの名声は大打撃を受けた。

 とりわけ不安視されているのは、開会式を従来の陸上競技場ではなく、セーヌ(Seine)川で船を航行させて行うという野心的な構想だ。

 エリゼ宮(Elysee Palace、大統領府)で開かれた会合には、ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相やアメリー・ウデア・カステラ(Amelie Oudea-Castera)スポーツ相ら政府高官のほか、現役時代にはカヌー競技で金メダル3個を獲得した大会組織委員会のトニー・エスタンゲ(Tony Estanguet)会長が出席した。

 大統領府の関係者は匿名を条件に「大統領は、五輪まで24か月しかなく、持続的な動員が必要だと強調した」と明かした。

 会合にはパリ市長のアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)氏や、パリを含むイルドフランス(Ile-de-France)地域圏の知事を務めるバレリー・ペクレス(Valerie Pecresse)氏は招かれなかった。大統領選で敗れた両氏は22日に、除外されたことに不満を訴える共同声明を出していた。

 大会組織委員会は、周辺のインフラ整備を請け負う五輪関連施設の建設業者SOLIDEOとともに、40億ユーロ(約5600億円)の予算を見積もっている。しかし、高まるインフレで経費削減を余儀なくされている上に、追加コストの穴を埋めるのに十分なスポンサーはこれまで見つかっていない。

 この問題に詳しい情報筋は匿名で「予算に関してはあらゆる面で非常に厳しい」と述べ、秋には問題の程度が判明するだろうと続けた。大統領府関係者によれば、節約可能な部分に関する国際オリンピック委員会(IOC)との「協議が開始された」という。

 エッフェル塔(Eiffel Tower)やエリゼ宮に近いコンコルド広場(Place de la Concorde)など、パリ中心部で多くのイベントを行う大会構想もあり、安全面は特に頭の痛い問題となっている。

 大会を前に進めるにはフランス国内の治安部隊に加え、約2万人に上る民間警備員の雇用が不可欠となる。(c)AFP/Cyril TOUAUX, Stuart WILLIAMS