【7月26日 AFP】チュニジアで25日、カイス・サイード(Kais Saied)大統領の権限を強化する憲法改正案の是非を問う国民投票が行われた。大統領にほぼ無制限の権限を与える内容で、民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」発祥の地である同国を独裁体制に回帰させるものだと批判されている。

 サイード氏はちょうど1年前、行政府を解任し、議会を停止して自身の権限を強化。反対派からはクーデターだと非難を浴びた。だが同国では、独裁政権を率いたジン・アビディン・ベンアリ(Zine El Abidine Ben Ali)元大統領が失脚した2011年からの10年以上、経済危機と政治的混乱が続いており、生活が改善しないことに不満を抱く国民の多くはサイード氏を支持した。

 サイード氏はここ1年、自身の権限を強化してきたが、経済の大きな改善にはつながっていない。今回の改憲案は可決される見通しだが、投票率の高さが同氏に対する世論の支持の指標となる。改憲案の可決に必要な最低投票率は設定されていない。

 改憲案は大統領に対し、軍の指揮権や、議会の承認なしに行政府を任命する権限を与える一方で、大統領の罷免を事実上不可能とする内容。また、大統領は議会に法案を提出できるようになり、議会は大統領の法案を優先させなければいけない。反対派は、改憲によりチュニジアが独裁体制に後戻りする恐れがあると警告している。

 投票は午後10時(日本時間26日午前6時)に締め切られ、暫定開票結果は26日夜に発表される。(c)AFP/Kaouther Larbi and Aymen Jamli