【7月25日 AFP】エジプトの裁判所は24日、多発しているフェミサイド(女性を標的とした殺人)を抑止するため、女子大生を殺害した死刑囚の刑執行を生中継できるよう法改正を求めた。

 北部マンスーラ(Mansoura)にある刑事裁判所は先月、同級生だった女子大生に交際を申し込んだが断られたために「計画的に殺害した」として、モハメド・アデル(Mohamed Adel)死刑囚に死刑を言い渡した。

 ソーシャルメディアでは先月、アデル死刑囚が大学前で女子大生を刺す場面を捉えた動画が拡散した。

 裁判所は議会に対し「(アデル死刑囚の)死刑執行の最初の部分だけでも生中継できれば、こうした事件の抑止という目的を達成し得る。判決言い渡しの生中継ではこうした目的は達成できない」として、刑執行を生中継できるよう死刑に関する法を改正するよう求めた。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、エジプトでは殺人罪の最高刑は死刑で、昨年の執行数は世界で3番目に多かった。

 しかし、死刑が公開または生中継されることはめったにない。例外として、1998年にカイロで自宅にいた女性と子ども2人を殺害した男3人の死刑執行を国営テレビが中継したケースがある。

 この数か月、エジプトでは注目を集めたフェミサイドが相次ぎ、国民の間で激しい怒りを呼んでいる。

 エジプトでは、男性優位の法律とイスラム教の保守的な解釈などにより、女性の権利が厳しく制限されている。

 国連(UN)が2015年に実施した調査によると、同国でパートナーや親族、または公共の場で他人から暴力を受けた女性は800万人近くに上った。(c)AFP