【7月24日 AFP】(更新)ウクライナ軍は23日、南部オデーサ(Odessa)港がロシア軍の巡航ミサイルの攻撃を受けたと発表した。これについてロシア側も「軍事施設」を標的にしたとし、攻撃を認めた。

 同港は、22日に成立した、ウクライナ産穀物の輸出再開へ向けた合意で積み出し港に定められている。ウクライナ軍は、2発は迎撃に成功したが、2発が着弾したとしている。

 一方、ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)報道官は24日、メッセージアプリのテレグラム(Telegram)に「精密巡航ミサイル『カリブル(Kalibr)』でオデーサ港の軍事施設を破壊した」と投稿した。

 ウクライナ外務省は23日、ロシア側の攻撃について、穀物輸出再開合意を仲介した国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の顔に、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は「唾を吐きかけた」と非難。

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、米下院議員団との会談で「(攻撃は)たった一つのことを証明している。ロシアは何を約束しても実行しない方法を見つけ出すということだ」と語った。

 オデーサ州のマクシム・マルチェンコ(Maksym Marchenko)知事によると、攻撃で港湾設備が損害を受け、負傷者も出ている。負傷した人数や負傷の程度は不明。港に保管されている穀物に被害は出ていないもようだ。

 グテレス氏は報道官を通じ、攻撃を「明確に」非難するとの声明を発表。穀物輸出は「世界的な食料危機に対処し、困窮している数百万人の苦しみを緩和するためにはどうしても必要だ」とし、ロシア、ウクライナ、トルコに合意の履行を求めた。

 欧州連合(EU)の外相に当たるジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表は、ロシアを名指しし「合意に署名した翌日に穀物輸出に不可欠な目標を攻撃したのは、特に非難に値する。ロシアが国際法と国際公約を完全に無視していることを改めて示した」と述べた。

 米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官も、「昨日の合意に対するロシアの約束の信頼性に深刻な疑問が生じている」と批判した。(c)AFP/Frankie Taggart