【7月24日 Xinhua News】中国の多くの都市でここ数年、通勤者がラッシュアワーに自転車で列をなして走るという、1970~80年代の「自転車王国」時代の中国で見られた光景を再び目にすることができる。

 中国では急速な経済成長に伴って人々の生活レベルが高まり、マイカー通勤が豊かな中国家庭のシンボルとなって次第に定着した。しかし近年、健康志向やグリーン(環境配慮型)生活理念が普及するのにつれ、かつて一世を風靡(ふうび)した自転車が再びブームを巻き起こしている。

 北京市では3年前に全長6・5キロの自転車専用道路が開通し、各方面の注目を集めた。信号はなく、上下合わせて4車線に加え、時間帯によって中央線の位置をずらし交通量の多い側の車線数を増やすリバーシブルレーン1車線が設けられている。設計時速での試算によると、全線を自転車で走行した場合の所要時間は30分足らずで、路線バスや地下鉄より利便性が高く、「自転車高速道路」とも呼ばれている。1日当たりの通行量は2021年時点で延べ4千~6千人に上っている。

 山西省(Shanxi)太原市(Taiyuan)の浜河自転車専用道路、湖北省(Hubei)武漢(Wuhan)の東湖グリーンウエー、福建省(Fujian)福州(Fuzhou)の天麓自転車グリーンウエーなども、自転車愛好者に良好な走行条件を提供している。専門家は、全国各地でここ数年自転車専用道路などのスローモビリティーインフラの整備が急ピッチで進んだことが、自転車ブームの再燃を促したと指摘している。

 都市環境の改善と自転車ブームの盛り上がりは補完し合い、促進し合っている。中国が二酸化炭素(CO2)排出量の2030年までの減少転換、60年までの実質ゼロを目指す「双炭」目標を打ち出して以来、グリーンで低炭素な移動という理念は人々に深く浸透しつつある。

 中国自転車協会のデータによると、自転車はここ数年、フィットネスやジョギングに続き、新たな国民的スポーツとなりつつある。日常的に自転車に乗ったり、自転車を移動手段としたりする人は現在、全国で1億人以上に上り、1千万人近くが自転車スポーツに参加している。

 サイクリングはかつて特殊な屋外競技の一つと考えられていたが、今では交友も兼ねた国民的スポーツに変わっている。サイクリング愛好者は全国の幅広い年齢層に広がっている。

 自転車ブームは自転車産業の活性化にもつながっている。同協会が6月発表したデータによると、中国自転車業界全体の21年の売上高は3085億元(1元=約20円)で、輸出額は前年比53・4%増の120億ドル(1ドル=約137円)と過去最高を更新した。(c)Xinhua News/AFPBB News