【7月22日 東方新報】ビクトリアハーバーを見渡す香港・西九龍(West Kowloon)文化地区に、中国文化の宝物を集めた「香港故宮文化博物館」が7月3日にオープンした。北京の故宮博物院が収蔵する国宝級をはじめとした文化財を展示。7月1日で香港が中国に返還されて25年となる節目に合わせた「贈り物」に、連日多くの香港市民が訪れている。

 香港の都市の洗練さと中国の伝統建築からインスピレーションを受けた建物は、7800平方メートルの展示エリアに9つのギャラリーを配置。故宮博物院が収蔵する186万点の膨大なコレクションから、国家1級文物166点を含め914点を展示している。1925年に故宮博物院が誕生して以来、中国本土以外では最大規模となる。香港故宮文化博物館の陳智思(Bernard Chan)主席は「あらゆる面で前代未聞だ」と喜びの声を上げる。

 古代から清朝までの陶磁器や水墨画、金銀細工、翡翠(ひすい)、刺しゅうなど、中国の悠久の歴史を感じさせる文化財を展示。清朝の乾隆帝が祭祀(さいし)で身に着けた式服や、皇帝、皇后の肖像画も並ぶ。

 香港故宮文化博物館の開館は返還記念日翌日の7月2日の予定だったが、当日は悪天候のため1日延期してオープン。中国の若者の間で流行している古代の民族衣装「漢服」をまとって来館する人も目立った。宮廷の女性貴族のような衣装を着た香港市民の陸さんは「紫禁城(故宮)の雰囲気はやはり、漢服とマッチします。今度は友達と一緒に漢服で訪れます」と笑みを浮かべた。

 6月14日から14万枚のチケットが発売され、7月分はすでに完売。今後は定期的に故宮博物院の収蔵品から選り抜きの展示物を入れ替えていく。西九龍文花地区には美術館や芸術劇場もあり、香港故宮文化博物館は周辺施設とともに香港の新たなランドマークとなりそうだ。

 また、香港故宮文化博物館の誕生を記念してパリのルーブル美術館からも13点が貸し出され、馬にまたがったルイ14世の銅像も展示されている。今後は東西の国際文化交流の拠点になることも期待されている。(c)東方新報/AFPBB News